研究実績の概要 |
SGLT2欠損マウス(SGLT2-/-)と対照マウス(SGLT2+/+)を用いて、通常餌(SC;炭水化物比率57.9%、蛋白質比率28.9%)と低炭水化物餌(LC;同20.9%、28.3%)によりPair-feedingで総エネルギーを同等に揃えて摂餌すると、14週まで両マウスとも体重がSC・LC同等に推移し耐糖能異常も認めなかったが、15~17週後からSGLT2-/-で餌による体重差が生じ始め、LCで体重の増加が見られ、24週後の検討で腹腔内脂肪量が増加し褐色/白色脂肪細胞比は低下していた。17週時点での検討で、空腹時の血糖値、グルカゴン、GIPがSGLT2の有無に関わらずLCで増加しており、OGTT・IPGTTによるインスリン分泌はSGLT2-/-でむしろ高くITTによるインスリン感受性は低下していた。血中、肝臓の代謝物測定の結果、SGLT2の有無や餌の違いは血中、および肝臓においても各アミノ酸レベルに影響が見られなかった。しかし肝臓でのGlutathione(トリペプチド)はSGLT2-/-において餌の違いにかかわらずSGLT2+/+に比べ減少していた。還元型Glutathioneには差が無かった。さらに糖代謝関連の代謝物において、SGLT2の有無にかかわらずピルビン酸、乳酸がLCで増加しており、糖新生経路のFructose1,6-BisP, Fructose-6-P, Glucose-6-PもLCで上昇していた。また、特にSGLT2-/-においてLCでGlycerol 3-Phosphateが増加していたが、ATP、NAD、NADHはSGLT2+/+ではLCで低下していたのに対し、SGLT2-/-ではSCよりむしろLCで増加していた。LCではインスリンは低下しグルカゴンは増加するのにも関わらず、血中ケトン体はSGLT2+/+で血中3-OHBAが低下していたがSGLT2-/-では餌による変化がなかった。
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