研究課題/領域番号 |
19K11712
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
吉田 英樹 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20400145)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ストレス / 電気刺激 / 星状神経節 / 近赤外線 |
研究実績の概要 |
2020年度については、昨年度に得られた研究成果に基づき、安静を保った対象者に対する星状神経節への近赤外線照射(以下、近赤外線照射)と運動中の対象者に対する電気刺激の二つに着目し、それらのストレス軽減効果効果を検討する計画であった。しかし、年度当初より新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた結果、対面での実験が不可能となり、当初予定していた研究計画の大部分を遂行することができなかった。しかし、年度の終盤になり、感染拡大防止対策を施した環境下での対面での実験が部分的に可能となり、予備実験レベルではあるが幾つかの知見を得ることができた。 第一に、近赤外線照射に関しては、ストレス軽減の指標となり得る末梢血流促進の可能性について検討した。健常者を対象として、安静仰臥位を保った状態で10分間の近赤外線照射を実施したところ、近赤外線照射を実施ない場合と比較して、下肢骨格筋血流量の増加が認められた。この所見は、近赤外線照射により、ストレスと関連する交感神経活動が抑制された結果、下肢骨格筋血流量が増加したものであると考えられる。 次に、電気刺激に関しては、健常者を対象として、電気刺激そのものが対象者に与えるストレスの程度について、電気刺激の電流強度の違い(感覚レベル、運動レベル)と貼付する電極数の違いに注目して予備的に検討した。その結果、一般的に実施されている30分間の電気刺激であれば、運動レベルで実施する電気刺激の方が感覚レベルで実施する電気刺激よりもストレスの程度が高く、その傾向は貼付する電極数が増加するほど顕著となっていた。一方、感覚レベルで実施する電気刺激では、貼付する電極数が増加してもストレスの程度が増加する傾向は認められなかった。この所見から、ストレス軽減の観点では、感覚レベルで実施する電気刺激の方が運動レベルで実施する電気刺激よりも適用しやすい可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、コロナ禍の影響により、当初予定していた研究計画の大部分を遂行することができなかった。年度の終盤になり、感染拡大防止対策を施した環境下での対面での実験が部分的に可能となってきたが、依然として十分な研究活動を行える環境ではなく、次年度に向けても余談を許さない状況が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
現状では、研究開始年度である2019年度に得られた結果に基づき掲げられた2020年度の目標が達成できていない状況である。このため、2021年度以降の研究では、2020年度の目標であった日常的なストレス暴露下にある人を対象とした赤外線照射によるストレス軽減の可能性を検証することが課題となる。また、電気刺激に関しても、2020年度の目標であった運動に伴うストレス軽減の可能性の検証が課題となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍の影響により、当初予定していた研究計画の大部分を遂行できなかったためである。 翌年度では、研究の遂行に必要な物品の購入の他、研究成果の学会発表および論文投稿の際に翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する予定である。
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