研究課題/領域番号 |
19K11712
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
吉田 英樹 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20400145)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ストレス / 電気刺激 / 運動誘発性疼痛抑制 / 等尺性運動 |
研究実績の概要 |
2022年度については、2021年度に得られた研究成果に基づき、電気刺激と運動を同時施行した場合に生じる痛覚閾値の変化とストレスへの影響について、健常者を対象として検討した。 実験条件としては、電気刺激と運動を同時施行する条件、運動のみを施行する条件(以下、運動単独条件)、電気刺激・運動のいずれも施行しない条件(以下、コントロール条件)とし、さらに同時施行条件については、電気刺激の電流強度を運動レベル(すなわち、筋収縮が生じる強度)とする条件(以下、運動レベル同時施行条件)と、電気刺激の電流強度を感覚レベル(すなわち、筋収縮が生じない強度)とする条件(以下、感覚レベル同時施行条件)の2条件、計4条件を設定した。なお、運動に関しては、短時間での運動誘発性疼痛抑制効果得られることが知られている等尺性運動(運動時間は2分間)を採用した。その上で、各条件にて、介入開始から介入終了までの痛覚閾値の変化と、介入中のストレス指標として心拍変動周波数成分(具体的には、交感神経活動の指標である低周波数成分と高周波数成分の比(以下、LF/HF)と副交感神経活動の指標である高周波数成分(以下、HF))に注目した。結果、痛覚閾値については、コントロール条件と比較して他の3条件で同程度の上昇が認められた。一方、心拍変動周波数成分については、コントロール条件と比較して運動単独条件では交感神経活動の有意な上昇が認められたものの、運動レベル同時施行条件と感覚レベル同時施行条件ではコントロール条件と比較して交感神経活動の有意な上昇は認められなかった。以上の結果から、運動と電気刺激(電流強度の強弱は不問)を同時施行することにより、対象者は過大なストレスを受けることなく痛覚閾値の上昇を得られることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に関しては、コロナ禍の影響等を考慮し、臨床研究は実施せず、健常者を対象とした基礎的研究のみ遂行した。その結果、当初目的としていた電気刺激と運動の併用によるストレス軽減の可能性について一定の結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現状では、2023年度についても、健常者を対象とした基礎的研究を継続する方針である。その上で、運動に関しては、30分程度継続する有酸素運動を適用することで、等尺性運動と同様に有酸素運動においても電気刺激の同時施行によるストレス軽減効果が得られるか解明することを課題とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍の影響により、当初予定していた臨床研究を実施することが出来ず、臨床研究での物品購入や旅費などを使用しなかったためである。 次年度(2023年度)では、前年度(2022年度)に引き続き、健常者を対象とした基礎的研究を計画する。研究に必要な主な物品は前年度の時点で既に購入済みであるため、次年度使用額については主に消耗品購入や論文投稿料などに充てる予定である。
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