研究課題/領域番号 |
19K11714
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研究機関 | 甲子園大学 |
研究代表者 |
亀尾 聡美 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (40312558)
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研究分担者 |
小山 洋 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30143192) [辞退]
井上 顕 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (40469036)
斎藤 芳郎 東北大学, 薬学研究科, 教授 (70357060)
山崎 千穂 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20506422)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 疲労 / 微量元素 / ミネラル / 亜鉛 / メンタルヘルス / フリッカー / 学生 / 食生活 |
研究実績の概要 |
本研究は、将来的に大学生への適切な健康管理と栄養指導を行い、メンタルヘルス不調の予防に貢献することを目指している。令和5年度(2023年度)は、研究期間延長を行い、当該研究の5年目であるが、昨年度に続き、学生に4時間のパソコン作業を行わせ、作業前、作業後のフリッカーテストによる疲労調査および、主観的疲労調べ(VAS)を行った。フリッカー値の測定は、ソフトウエア(FHM社製)Web版を用いてPC液晶画面にて行った。今年度は、更に、ストレス度の調査を、唾液アミラーゼ測定(ニプロ社 唾液アミラーゼモニター)にて行った。フリッカー値の測定の際には、睡眠時間等の生活習慣の調査、および食生活状況等を同時に調査した。メンタルヘルスの状況の調査のために、SDSうつ性自己評価尺度の調査を行った。微量栄養素・ミネラル摂取量の推定のために、半定量食物摂取頻度調査を行った。今年度の調査の結果から、以下の関連が明らかとなった。朝食摂取状況は、疲労度との関連は見られなかったが、飲酒頻度によって疲労度に有意な差があり(p<0.001)、全く飲まない人より、2週に1回(p=0.036)、および、1か月に1回飲酒する人でフリッカー値が高い(疲労度が低い)(p=0.014)という結果であった。適度な飲酒は、むしろ疲労回復につながっていることが示唆された。睡眠時間については、1-2時間睡眠は、フリッカー値が低い傾向(疲労度が高い)であったが、有意な差は認められなかった。さらに微量栄養素摂取量と疲労度との関連においては、マグネシウム摂取量と疲労度、n-6系脂肪酸摂取量と疲労度の関連について以下のような関連が明らかとなった。マグネシウムを多く摂取している者、およびn-6系脂肪酸を多く摂取している者は、フリッカー値が高い(疲労度が低い)傾向があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、新型コロナ感染拡大の影響を受け、終了年度を更新し5年目であった。本年度も血液採取は、断念した。しかしながら、大学生への疲労評価、生活習慣、半定量食物摂取頻度調査等を継続して行い、疲労度と微量ミネラル摂取との関連、および生活習慣、食生活状況の関連についての調査を行うことができた。また、同一対象者の大学生を対象に、唾液アミラーゼ測定を行い、ストレス度の測定をすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、大学生において、実習前後の疲労の程度を客観的に評価し、および、食物摂取頻度調査・食生活状況調査から、微量元素、特に亜鉛の摂取状況、さらに、採血を行い、血中濃度の確認を行っていく予定である。 これまでに、本研究から得られたデータの解析を更に行い、大学生の疲労の程度と食生活状況の関連、特に、微量ミネラルの摂取状況の実態を把握し、微量ミネラルとメンタルヘルス不調との関連性を明らかにしたい。将来的に大学生への適切な健康管理と栄養指導を行い、メンタルヘルス不調の予防に貢献することを目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度も客観的疲労評価の化学的指標の測定、および血中微量元素の測定については、コロナ禍の影響により採血を行うことができず、計画通りに実施できなかったため、当初予定の支出に至らなかった。次年度に、化学分析に関連する消耗品等について、また、研究分担者との研究結果解析の打ち合わせ、学会参加などの旅費等に使用する計画である。
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