さまざまな認知課題の中でも、Food Go/NoGo課題は有意な摂食抑制効果を示すことが分かっていた。しかし、この課題の摂食抑制機能の神経学的機序は未だによく分かっていなかった。そこで、本研究では、日本の食物環境に合わせたFood Go/NoGo 課題の作成し、Food Go/NoGo課題による摂食抑制効果の神経学的メカニズムの解明を目指した。 日本の食物環境に合わせたFood Go/NoGo 課題を作成するため、一般的な高カロリー食品50品目と低カロリー食品50品目を5点法で評価して貰い、摂食頻度と嗜好性の項目で評価が高かった高カロリー食品の中から25品を選択し、NoGo食品とした。摂食頻度の高かった低カロリー食品の中から25品を選択し、Go食品とした。 次に機能的MRIをもちいて、Food Go/NoGo課題による摂食抑制効果の神経学的メカニズムの解明を目指した。2つのグループに、それぞれFood Go/NoGo課題と対照課題(Non-Food Go/NoGo課題)を3週間おこなってもらい、課題の実施前後で、高カロリー食品(NoGo食品)と低カロリー食品(Go食品)に対する脳活動の変化などを比較した。この結果から、Food Go/NoGo課題の実施によって、高カロリー食品の摂取が減り、高カロリー食品に対する欲求が抑制され、食欲の調整に関わる脳部位(島皮質と橋)の活動に変化が見られた。本研究より、Food Go/NoGo課題は、食欲の調整に関わる脳部位の活動を変化させることで、NoGo食品に対する自発的欲求を低減させ、健康的な食生活を促進させることが示唆された。
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