研究課題
申請者はこれまで、床や椅子に座った状態で骨を強化する「BONEプログラム」を行うことで、骨強度や足底圧分布が有意に改善することを明らかにしてきた。しかし、ADLに障害のある高齢者において、本プログラムが骨強度、歩行能力、足底圧分布を改善するかどうかは不明である。そこで、本研究の目的は、ADL障害のある高齢者において、足部機能訓練が歩行能力、足底圧分布、および骨強度に及ぼす影響を検討した。本研究は、単施設無作為化比較試験として、介護施設において実施した。本研究の参加基準は、1)年齢75歳以上、2)歩行補助具なしで6m歩ける、3)研究手順を理解できる、4)研究参加に禁忌がない、5)急速に進行する病気や末期の病気がない、6)日本政府の定義による医師によるADL障害の支持レベル2または介護レベル1-4の診断。各レベルにおける ADL または手段的 ADL の困難さは、支援レベル 2 では家事、介護レベル 1 では日常の意思決定や買い物、介護レベル 2 では歩行、介護レベル 3 では着替え、入浴、排泄、介護レベル 4 では移乗と定義した。最終的に、34名の参加者が研究に採用された。参加者は、介入群(n = 17)または対照群(n = 17)のいずれかに無作為に割り付けられた。測定項目は踵骨における超音波骨密度測定、歩行時における足底圧分布及び歩行速度であり、4か月間の前後において計測を行った。尚、介入群は4か月間、週2回、60分間のBONEプログラムを実施した。結果、有意な骨密度と歩行速度、測定圧分布の向上が認められた。本研究被検者は、介入前歩行速度も非常に低く、自力で歩行することが困難な様子も見られたが、介入後は、全員が自力歩行を行い、測定圧分布が正常値を示し、歩行速度も37%増加したことから、本研究で用いたBONEプログラムの効果は要介護者にとって有効であることが示唆された。
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