研究課題
令和元年度に得られた「5、9、13週齢Splague-Dawley(SD)ラットのいずれの週齢から高コレステロール(HFC)食を9週間与えてもNASHモデルを作成できる」との研究結果を踏まえて、今年度は、より週齢の進んだ9、18、27週齢の雄性SDラット(それぞれ6匹)にHFC食を9週間摂取させ、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)発症およびその病態への影響を検討した。その結果、どの週齢においても病理組織学的にNASHを発症しており、血清ASTやALT、インスリン、インスリン抵抗性は週齢が高いほど高値を示した。病理組織学的検討では、肝臓の脂肪沈着や小葉内炎症、肝細胞の風船様腫大は週齢による変化は認められなかったが、肝線維化の程度は週齢が高いラットがより進行していた。肝組織中のmRNA発現量では、肝線維化の指標であるTGF-βやα-SMAは週齢が高いラットで多い傾向が認められた。以上の結果および令和元年度の結果より、HFC食投与による食餌誘導性SDラットモデルは5週齢から27週齢という比較的広い範囲の週齢で適用でき、NASHに関連する肝線維化は週齢が進むにつれ進行しやすいことが明らかとなった。また、令和2年度の研究結果より、SDラットだけでなくWistar系ラットにおいてもNASHを発症したことから、HFC食の比較的短期間の投与による食餌誘導性ラットモデルはSDラットに限らず、また、比較的広い週齢のラットを用いることができるとおもわれた。また、以上のラットモデルを用いて、抗酸化作用のあるオリーブ葉パウダーのNASHに対する効果を確認した。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Acta Medica Nagasakiensia
巻: 65 ページ: 7-15
Clinical Nutrition Open Science
巻: 37 ページ: 47-59
10.1016/j.nutos.2021.04.002