本研究では複数のマウスモデルを用いて静脈血栓塞栓症に及ぼす食品成分の影響を解析した。その結果、n-3系多価不飽和脂肪酸、黒酢および黒酢もろみ末の摂取がマウスの深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症の抑制に有効であることが明らかとなった。n-3系多価不飽和脂肪酸の中では、特にエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の作用が強く、主に血小板機能の抑制を介して症状を軽減させた。α-リノレン酸は有効性では劣るものの、血液凝固反応に対して特有の抑制活性をもつ可能性が示唆された。黒酢成分は主として凝固機能の抑制を介して症状を軽減させた。黒酢もろみ末の摂取は血小板凝集活性を抑制し、静脈血栓塞栓症状も低下させた。
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