MTKOマウスの寿命短縮の一要因として、カルニチンの代謝異常が考えられた。カルニチンは、食事あるいは生体内で合成され、ミトコンドリアにおける長鎖脂肪酸代謝に必須であり、ミトコンドリアの保護効果も有する。近年カルニチンは、不妊治療、がんや心不全に対する臨床研究にも用いられ、注目されている。カルニチンの寿命延伸効果は容易に想像できるが、哺乳動物でそれを証明した研究は未だにない。またカルニチン合成に関与する遺伝子Tmlheの発現低下はほとんど報告例がなく、カルニチン合成経路の制御系が解明されれば、ヒトの(健康)寿命延伸に貢献できると考えられる。その基礎となる本研究における発見は、社会的意義が大きい。
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