研究課題
令和3年度(最終年度)は前年度からの実験を継続して行った。特に、胎児(仔)期低栄養環境による出生後の小腸および腎臓のエピゲノム変化およびテロメアについて検索を行い、正常群と比較検討した。ヒストンのメチル化については、H3K4me3、H3K9me3、H3K27me3、H3K36me3、H3K79me3 に対する抗体を用いて免疫組織化学的検索を行った。正常群と胎仔期低栄養群において、H3K4me3、H3K9me3、H3K36me3、H3K79me3は、出生後の時期や上皮細胞の部位による顕著な差異は認められなかった。しかし、H3K27me3は正常群の出生後7日齢で回腸絨毛部の上皮細胞の核内に強陽性反応が認められた。同様に、腎臓の糸球体内皮細胞および尿細管上皮細胞も強陽性反応を示した。一方、胎仔期低栄養群の同時期の回腸上皮細胞は弱陽性反応を示した。腎臓の内皮細胞および尿細管上皮細胞も弱陽性反応を示した。出生後7日齢で回腸絨毛部の上皮細胞に強陽性反応が認められたことは乳飲期の発達過程にエピゲノム変化が生じ、小腸の陰窩などの形成に関与している可能性が示唆された。一方、胎仔期低栄養群の出生後では発達過程のエピゲノム変化が正常群よりも生じにくく、陰窩や絨毛などの形成が抑制されている可能性が示唆された。テロメア標識法を用いて、細胞内空間情報を保持した状態で核内のテロメアを可視化して検索を行った。正常群と胎仔期低栄養群において、出生直後から小腸上皮細胞の核内染色体末端に標識されたテロメアがドット状に認められた。両群を比較すると、胎仔期低栄養群のドット数が正常群より減少した。腎臓の糸球体内皮細胞や尿細管上皮細胞においても同様の結果を示した。この結果から、胎仔期低栄養はテロメア長を短縮することが示唆された。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (5件)
International Archives of Allergy and Immunology
巻: 183 ページ: 579-590
10.1159/000521765
Histochemistry and Cell Biology
巻: - ページ: -
10.1007/s00418-022-02110-3
Microscopy and Microanalysis
巻: 28 ページ: 567~575
10.1017/S1431927622000058
Microscopy
10.1093/jmicro/dfac015
巻: 70 ページ: 368~374
10.1093/jmicro/dfab005
Medical Molecular Morphology
巻: 54 ページ: 41~51
10.1007/s00795-020-00258-2
Scientific Reports
巻: 11 ページ: -
10.1038/s41598-021-87049-6
Journal of Molecular Histology
巻: 52 ページ: 1205~1214
10.1007/s10735-021-10020-2
Acta Histochemica
巻: 123 ページ: 151761~151761
10.1016/j.acthis.2021.151761