研究実績の概要 |
食生活の乱れはバイオロジカルリズムの破綻に繋がり、やがては病気への進展を招く。食餌中のカロリーや糖質が摂食行動を亢進し、体内時計を同調させることが分かってきている。しかし、栄養学的な要素を除く食べ物の味や食感など嗜好特性については、実験小動物で客観的に評価することが難しく、食べ物の嗜好性とリズム障害、健康、疾患との関係は科学的に解明されていない。本研究ではサルを用いることで、ヒトの感覚に類似した食餌の嗜好性の評価を可能にする。サルにおいて概日リズム障害モデルを構築し、食餌嗜好性が体内時計の同調機構に及ぼす影響を検討する。本年度は、in vivo環境下でサルの行動量と体温変動を24時間連続して記録するシステムを構築し、また簡便な手法で時計遺伝子の変動をモニターできる評価系の構築を行った。ヨザルの腹腔内(腹壁)に送信機を外科的に埋め込み、テレメトリーシステムにより24時間連続して行動量と体温変動を記録した。記録した生データは、生体リズム解析ソフト(ClockLab)にてアクトグラムの作製を行った。一方、時計遺伝子の変動をモニターするため、ヨザルの顔ヒゲを5~10本ほど抜去し、毛根細胞から核酸抽出を行って、時計遺伝子(Per1、Per2、Per3、およびBmal1)の発現量をリアルタイムPCRで評価する系を確立した。ヨザルにおいては、Per1およびPer3が綺麗な周期性を示すことが明らかとなった。また、Per1,2,3とBmal1がおよそ逆位相になることも確認できた。
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