研究課題/領域番号 |
19K11742
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
奥村 仙示 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (30322259)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肝疾患 / メタボロミクス |
研究実績の概要 |
我々は、肝切除後早期に呼吸商が低下することから、飢餓改善のための就寝前夜食(LES)の必要性を提案してきた。肝切除後の栄養療法をより詳細に検討するため、肝・胃・大腸切除周術期における血中アミノ酸および異化代謝物の変動を比較した。対象は、肝切除群13例、胃切除群14例、大腸切除群10例の計37例とした。手術当日(pre)、術後3日目(POD3)、7日目(POD7) の早朝空腹時の血漿を用いてアミノ酸濃度を、血清を用いてインスリン、アシルカルニチン、分岐鎖アミノ酸(BCAA)のIsoleucine(Ile)とLeucine(Leu)は、肝切除群においてpreに比しPOD3で低下傾向、大腸切除群においてpreに比しPOD3で上昇傾向を示した。Valine(Val)は、全群において有意な変化はみられなかった。また、芳香族アミノ酸(AAA)のPhenylalanine(Phe)は、肝切除群においてpreに比しPOD3およびPOD7で有意に上昇した。Tyrosine(Tyr)は、肝切除群においてpreに比しPOD3で上昇傾向、胃および大腸切除群においてpreに比しPOD3で低下傾向を示し、POD3において胃および大腸切除群に比し肝切除群で有意に高値を示した。フィッシャー比(BCAA/AAA)は、肝切除群においてpreに比しPOD3およびPOD7で有意に低下し、POD3およびPOD7において胃および大腸切除群に比し有意に低値を示した。さらにBCAAの変動が異化によるものかを検討した。アシルカルニチンにおいては現在検討中である。 肝切除群においてBCAAの異化が亢進し、必要量が増大した可能性が示唆された。肝切除後早期からBCAAを含むLES投与が望ましい可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝臓切除、大腸切除、胃切除の患者について、術前、術後の血清および血漿のサンプルを採取できた。血液生化学一般検査は通常の臨床の経過として行った値の収集も行った。 予定されていた、対象患者よりサンプルの採取が行えているため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、新たな臨床的なサンプルを追加するということは難しいが、すでに目標のサンプリングを行えている。 現在蓄積したサンプルについて、解析を行い肝疾患の栄養検査に活用できる指標を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会の予定が変わり、旅費の次年度使用額が生じた。次年度は、次年度請求した分をあわせて物品費として使用する予定である。
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