研究課題
メタボロミクスは、代謝物を測定することで、詳細な代謝の変化を可視化できる技術であり、生体試料中の代謝物から、表現型の変化を明らかにすることができる。肝細胞癌(HCC)患者20名の腫瘍組織と非腫瘍組織を、キャピラリーを用いた 電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)を使用し解析した。また、血清は手術直前と、肝切除14日後採取した。血液生化学検査や間接熱量計による、エネルギー代謝も測定した。メタボローム解析による代謝物測定まで、-80度で保存した。非腫瘍組織、さらにHCC腫瘍で有意に発現量が増加した30種類の代謝物のうち、非腫瘍組織と比較した場合、10種類のアミノ酸が抽出され、そのうち7種類(ロイシン、バリン、トリプトファン、イソロイシン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン)が必須アミノ酸であった。同様に、HCC肝切除前の患者の血清メタボロームからは ロイシン、バリン、トリプトファンを含む16種類の代謝物が有意に増加した。本検討の結果、HCC腫瘍組織の代謝物は、非腫瘍組織と比較し、必須アミノ酸であるロイシン、バリン、およびコラーゲンを抽出でき、トリプトファンが肝細胞癌の代謝バイオマーカーとなる可能性が示された。このように、血清を組織の代謝物を測定し、腫瘍組織と非腫瘍組織の代謝物を抽出することで、腫瘍に特徴的な代謝物が抽出できた。今後、栄養療法や治療のためにより詳細な解析を行うために、症例数や腫瘍のタイプについて分類し詳細な検討が必要と考えられる。
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Oncotarget
巻: 22 ページ: 1286-1298
10.18632/oncotarget.28306.
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