近年疫学研究や動物実験でコレステロール摂取により脂肪沈着の増強や肝炎、線維化の増悪が報告され、脂肪性肝疾患の病態進展におけるコレステロール代謝の重要性が認識され始めている。従来、コレステロールは動脈硬化性疾患との関連が強いため、心筋梗塞、脳梗塞のリスクをもとに管理目標が設定されている。また、食事からのコレステロール摂取量と血中コレステロール値の関連を示す根拠がないため、コレステロール摂取制限に対する意識が低下している。しかし、肝疾患ではコレステロール過剰摂取が肝硬変、肝細胞癌などのリスクを増加させる可能性が報告され、肝疾患をもとにコレステロール摂取制限について再検証する必要があると考えられる。
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