研究課題/領域番号 |
19K11744
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山本 美智子 熊本大学, 薬学部, 客員教授 (90538125)
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研究分担者 |
大室 弘美 武蔵野大学, 薬学研究所, 客員教授 (00124470)
後藤 惠子 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (40434047) [辞退]
山本 健 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (80837310)
猿渡 淳二 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (30543409)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | セルフケア / 機能性表示食品 / OTC薬 / 表示 / 資材の有用性評価 / CDC CCI / ユーザーテスト |
研究実績の概要 |
今年度は、昨年度に実施したユーザーテスト(UT)のパイロットスタディの結果を踏まえ、プロトコル(実施手順)、評価基準および表示に対する質問票を見直した上で、機能性表示食品(FFC)の表示に関して、消費者視点から資材の有用性を実証するためのUTの本調査を実施した。 FFCは、パッケージ袋(機能性届出:手元のピント調節機能補助)、ペットボトル(悪玉コレステロールの低下)、紙箱(中性脂肪の低下)の形態の異なる3品目の表示を対象とした。評価項目は、Accessibility(ユーザーは探している情報を見つけることができるか?)およびUnderstandability(ユーザーはその情報を理解して行動できるか?)の二点とした。調査対象者は、各10名で、男女比、使用対象年齢および学歴等を考慮して選考した。質問は使用に際して注意すべき情報について自由回答形式とし、対面でのインタビューを実施した。 Accessibilityに関しては、食生活で注意すること、くすりとの併用の対処および保存や保管に関する質問で回答に時間を要することが多く、回答できない者もいた。Understandabilityに関しては、回答できた対象者は概ね基準を満たしたが、専門用語やなじみのない表現も多いためわかりにくい、また、重要な部分が強調されていない、注意書きの文字が小さく読み取りにくい等のコメントが多かった。 今回のUTでは、表示がPRのためのデザインや文言が重視されている傾向にあり、消費者へのメッセージへのアクセスや理解が十分とはいえない状況であることが明らかになった。特に、安全に使用するための注意については、消費者にわかりやすくする必要があると考える。また、FFCにおける表示に関して、ユーザー側における評価結果から、改善の余地があると思われた。引き続き、残りのUTを実施し最終結論を出す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ユーザーテストは対面でのインタビューであるので、コロナ禍により実施が遅れた。同本試験を5品目について実施予定であったが、3品目にとどまり、完了に至らなかった。その成果をベースに、評価の体系化システムの構築も行う予定であったが、それも実施ができなかった。環境が整い次第、残りの本試験UTを実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、残りの製品資材を対象に、ユーザーテストを実施し、課題や問題点を抽出する。健康食品の表示に関する評価としてCCIおよびユーザーテストのあり方を再検討し、作成者側の表指標と消費者側のユーザーテストを組み合わせた統合的な評価体系を構築する。それにより、他の消費者向けの健康情報などにも利用可能な評価システムを作り、ウェブ上で公開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、今年度はユーザーテストの本試験を行ったが、一部完了できていない。そのため、予定していた経費が余り、次年度使用額が生じた。この分の予算は、今後実施を予定しているユーザーテストの本試験の経費やシステム構築に充当する。
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