研究課題
EBウイルスは主にヒトB細胞に感染し、その感染細胞には種特異性があり、マウスには感染しないことから、EBウイルス感染モデルマウスの代わりに、EBウイルスの再活性化の検索を目的とするモデルマウスを用いた。EBウイルスは再活性化のシグナルを受けて、最初にEBV前初期遺伝子のBZLF1が活性化してZEBRAタンパクが合成される。ZEBRAは転写因子としても働き、自己及び他のEBV前初期、初期、後期遺伝子の発現を活性化し、潜伏感染状態を脱することができる。このようにBZLF1の転写活性化がEBウイルスの再活性化を単独で誘導することが出来る事から、このBZLF-1のプロモーターにルシフェラーゼを連結させた遺伝子(pZp-Luc)を組み込んだマウスを使用して検討を行った。加齢によるEBウイルスの再活性化促進の有無を検討するために、58週齢の高齢マウスの各臓器についてpZp-Luc活性を測定した結果、♂の若年マウスでは脳で最も高い活性が認められたのに対して、高齢マウスでは精巣で活性が高い傾向が認められた。また、in vitroで、BZLF-1の活性化はTPA刺激で亢進することが知られているが、in vitroにおいても同様の作用が認められるか否かを検討した。23週齢のマウスについて、TPAおよびn-butylを投与後、各臓器を摘出しルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、♀では脳と耳下腺で増強傾向が認められ、♂では脳、精巣、耳下腺、涙腺で増加傾向を認めた。これらの事から、BZLF-1の転写活性化は臓器により感受性が異なることが確認できた。