研究課題/領域番号 |
19K11751
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
横山 葉子 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任講師 (10617244)
|
研究分担者 |
渡辺 光博 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 教授 (10450842)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 栄養バランス / タンパク質 / 胆汁酸 / 腸内細菌 |
研究実績の概要 |
わが国の低出生体重児の占める割合は非常に高く、OECD諸国の27カ国中でギリシャと並び最高である。低出生体重はその後のメタボリックシンドロームや精神疾患の発症割合の上昇との関連が指摘され、このまま低出生体重児の増加が進めば将来爆発的な発症が起こりかねない。加えて、医療費増加や労働生産性低下など、経済的にも重要な公衆衛生上の問題である。先行研究では、出生前後の栄養素バランスの差異は、成長してからの健康に長期的な悪影響を与えることが示唆されている。 近年、栄養素バランスの急激な変化の兆候が見られるが、この変化が第一世代及び次世代の健康状態への影響は十分明らかにされていない。本研究では、親世代のタンパク質の量と、タンパク質の質(動物性、植物性)が次世代のメタボエイジングをいかに制御するのか、胆汁酸・腸内細菌叢を中心としたメカニズムを軸とし、エピジェネティクス機構から解明し、わが国の低出生体重児およびその後の健康状態改善に寄与する知見を得ることを目的とする。本年度の概要は下記の通りである。 1)C57BL/6Jマウスの妊娠可能週齢から①低タンパク質群、②通常タンパク質群、③高タンパク質群および①動物性タンパク質、②植物性タンパク質を組み合わせた餌を設計し、投与を行った。その後、交配を行い、妊娠中体重増加量、妊娠割合・出生時死亡割合、出生時仔数等の測定を行なった。この結果、タンパク質の量により妊娠中体重増加量に統計学的有意な差が見られ、出生時死亡割合は2倍以上の差が見られた。 2)出生日を揃えた次世代の仔を、母親世代の餌の種類ごとにそれぞれコントロール食群(脂質10%)、高脂肪食群(脂質60%)に分け、代謝疾患への影響を検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り実験を開始し、妊娠・出産を経て、次世代の研究を継続中であるため。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、1)本年度、明らかになった親世代の妊娠・出生時の差異の要因を検討するため、サンプルの採取と分子生物学的検討を行う。2)栄養素バランスとタンパク質の質の差異が次世代のメタボエイジングに与える影響を、エネルギー産生、脂質・糖代謝に着目して検討する。3)分子生物学的検討により責任臓器の特定と、胆汁酸・腸内細菌相互作用シグナルの検討を行う。
|