研究課題
我々が先行研究「多層的疾患オミックス解析プロジェクト」にて、ヒトNASH(非アルコール性脂肪肝炎)生検肝組織の網羅的遺伝子発現解析により見出した、NASH肝において協調して発現変動する様々な遺伝子クラスターのうち、前年度に引き続き、AKR1B10とまだ機能の不明なAKR1B15を含む遺伝子群に注目した。これらは脂質を中心とした代謝酵素であるため、上位シグナルとして、脂肪(パルミチン酸)や小胞体ストレス、酸化ストレス、低酸素などが想定されたが、細胞を用いたin vitroの実験ではこれらのいずれも発言を誘導した。一方、AKR1B10はNASH発がんとの関連も示唆されているが、AKR1B10あるいはAKR1B15を恒常的に過剰発現させる細胞株を作成し、誘導される遺伝子群を検討したところ、細胞増殖に関わる遺伝子や代謝に関わる遺伝子群には大きな変化はなく、線維化に関わるコラーゲン遺伝子群の発現誘導を認めた。この誘導はTGFβシグナルの阻害剤で阻害されず、NASHの発がん母地としての線維化誘導に新たな経路が寄与している可能性が考えられた。
すべて 2022
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Clin Epigenetics
巻: 14 ページ: 168
10.1186/s13148-022-01379-4