研究課題/領域番号 |
19K11759
|
研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
佐々木 紀彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (80639063)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 血管内皮細胞 / 老化 / ラパマイシン / ヘパラン硫酸脱硫酸化酵素 / 平滑筋細胞 / ガングリオシド |
研究実績の概要 |
本研究では、老化に伴う心血管病の発症から重症化に至る過程での心血管系の細胞間ネットワーク機構の解明を目指す。そのために、血管内皮細胞の老化に伴って増加する糖鎖関連分泌因子であるへパラン硫酸脱硫酸化酵素の作用機序について明らかにすることを目的としている。令和元年度では、まず、autocrine/paracrineな内皮細胞への作用として、細胞老化には関与しないことを見出した。一方、酸化ストレスに伴い増加する内皮間葉転換には作用していることを見出した。シグナルへの影響については次年度以降に検証する予定である。SASP抑制剤として知られるラパマイシンによる影響も検討した。へパラン硫酸脱硫酸化酵素の増加は抑制されなかったが、酸化ストレスによる細胞老化とSASPについてはラパマイシンによる抑制効果が見られたが、逆に内皮間葉転換が促進されることを見出し、論文発表を行った。へパラン硫酸脱硫酸化酵素はSASP とは別経路で制御されていることが示唆された。また、へパラン硫酸脱硫酸化酵素の作用する相手としての平滑筋細胞について解析を進めた。細胞老化に伴うガングリオシドの発現様式が内皮細胞とは異なることや、へパラン硫酸脱硫酸化酵素の発現性も内皮細胞とは異なることを見出した。さらに、平滑筋細胞のswitching過程でのガングリオシドの発現性も検討し、細胞老化と異なる発現様式であることも見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にある①血管内皮細胞に対する作用については、内皮細胞の老化との関連についてはある程度の結果を得た。また、EndMTとの関連についても一定の結果は得た。②の平滑筋細胞に対する作用については、まず平滑筋細胞の特性(ガングリオシドの発現性、TGFやPDGFに対する反応性など)について一定の結果を得た。2020年度の計画につながるような結果を得ているのでおおむね順調といえる。
|
今後の研究の推進方策 |
期間内に研究目的を遂行させるため、今後は以下のような推進方策で研究を行う。 研究計画に記載した、①血管内皮細胞に対する作用については、内皮機能への影響について検証するとともに、ガングリオシドとの相互作用についても検証していく。 また、研究計画に記載した、②の平滑筋細胞に対する作用については、平滑筋細胞の増殖や遊走、switchingへの作用について検証していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、前の科研費の延長を行っており、この研究にも時間を裂いたこともあり、当該研究においては予定よりも予算の執行が少なくなった。次年度は、研究計画通りに行い、予算を執行する予定である。
|