研究課題
観察研究では、冠攣縮性狭心症の治療前の冠微小循環や運動負荷の特徴の解明について論文化を行っている。介入研究では、冠攣縮性狭心症患者を対象にインフォームドコンセントを取得し、無作為に運動介入群 (運動療法と内服治療)と、運動非介入群(内服治療のみ)に振り分けた。12週後、以下の評価項目について評価を行った。主要評価項目は心肺運動負荷試験による運動耐容能、副次評価項目は運動負荷心臓超音波による拡張機能評価(スペックルトラッキング法)、心臓カテーテル検査時に行う運動負荷試験直後の冠動脈化収縮率、Perfusion心臓CTを用いた冠動脈周囲脂肪組織量および心筋血流量、末梢血Rho-kinase (冠攣縮の重要な分子機構)活性及びadipokine,炎症性サイトカイン,シアトル狭心症質問票、SF-36を用いたQOLの変化、体成分分析装置(in body)による体脂肪測定、筋交感神経活動である。運動介入方法:運動療法群に対して週1回病院での運動療法及び家庭での運動療法を行う。入院時の心肺運動負荷試験より嫌気性代謝閾値(AT:anaerobic threshould)レベルの心拍数で運動処方を作成する。週1回1時間の外来通院によるリハビリテーションに加えて、家庭において週3~5回を基準とした。
1: 当初の計画以上に進展している
観察研究:冠攣縮性狭心症の治療前の冠微小循環や運動負荷の特徴の解明については学会発表として、大学院生の杉澤が2020年度心臓リハビリテーション学会の優秀演題セッションに採択され、論文がほぼ完成し、投稿段階に近い。さらに、介入研究はすでに登録および主要評価の解析が順調にすすみ、現在、海外国際雑誌に論文投稿が済んだ段階である。従って、令和2年度前半までに症例登録を終え、同年度内に運動療法を完了させる予定であったが、計画以上に順調に進んでいる。
令和2年度より東北大学より国際医療福祉大学へ異動をしたが、東北大学において観察研究、および、介入研究はすでにすんでいる。保存した採血を用いて、Rho-kinase活性やELISAなどの追加解析を、東北大学において非常勤講師として、東北大学助教の西宮健介と実施予定である。
Rho-kinase 活性を見るため抗体(ROCK1, ROCK2,pMYPT-1)、アディポカインや炎症性サイトカイ ンを網羅的に解析できるサイトカイン測定キット BioRad(Luminax assay Human High Sensitivity cytokine mangetic panel A)を購入し、保存した採血を用いて副次評価項目の追加解析を実施予定である。また、解析のための統計ソフトSPSSに対応したPC 購入を次年度に持ち越しました。
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