研究課題
本研究では、全身の脂質代謝とは独立して制御される免疫細胞の脂質代謝制御と代表的な自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)の発症・進展における意義を解明することを目的とする。 現在までSLEを根治する治療法は確立されておらず、非特異的な免疫抑制療法かが主流である。近年、B細胞増殖因子に対する中和抗体療法が取り入れられているが、初期治療としては用いられないため、発症初期からの特異的な治療法は確立していない。また、GWASやeQTL解析から脂質代謝と自己免疫疾患の関連性も示唆されているが、直接的な因果関係を示す報告はない。申請者はこれまでに、抗原提示細胞内の脂質蓄積が炎症性変化と自己免疫疾患の病態を悪化すること、一方で、コレステロール逆輸送系を促進することによって抗原提示細胞内のコレステロール量を減少させると、自己免疫疾患の病態が改善されることを見出した(eLife 4: e08009, 2015; Immunity 45: 1311-1326, 2016)。本研究では、申請者自身独自の知見に基づき、免疫細胞自律的に脂質蓄積が起こるメカニズムと、遺伝的に全身の脂質代謝異常を有する際のSLEの発症や進展に対する影響を解明することを目的とする。本研究において、SLE発症初期の免疫細胞における脂質代謝異常のメカニズムと脂質代謝と病態との因果関係を解明することは、早期の新規治療法の開発を見据えた重要な基盤成果となる。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)
Frontiers in Immunology
巻: 12 ページ: 650856
10.3389/fimmu.2021.650856
Scientific Reports
巻: 11 ページ: 11137
10.1038/s41598-021-90086-w
Biomedicine & Pharmacotherapy
巻: 140 ページ: 111738~111738
10.1016/j.biopha.2021.111738