研究課題/領域番号 |
19K11768
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
酒井 徹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (40274196)
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研究分担者 |
首藤 恵泉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (10512121)
中本 真理子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (40722533)
中本 晶子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (90803536)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ポリメトキシフラボノイド / スダチチン / ノビレチン / 抗原特異的免疫応答 |
研究実績の概要 |
フラボノイドのメトキ基の構造と機能性の差異について解析を行った。スダチチンは、徳島特産のスダチの果皮に存在するフラボノイドでありこれまで抗肥満作用を有することを世界に先駆けて報告してきた(Nutr. Metabolism 11:32-46., 2014)。近年では免疫機能に関する研究に着手し、卵白アルブミン免疫マウスにおけるスダチチンの作用について検討を行った。スダチチンは抗原特異的なヘルパー2型免疫応答を司るサイトカイン産生を高め、その結果として抗原特異的IgG1およびIgE抗体産生を高めることを見いだした。また、そのメカニズムを明らかにするためin vitroで抗原提示機能に対する影響を観察したところ、抗原提示に関わる分子の発現を高め抗原提示機能を亢進させることを明らかにした(J. Clin. Biochem. Nutr. 64:158-163, 2019)。ノビレチンはシークワーサーの果皮に含まれる成分であり最も機能性が研究が進んでいる成分の一つである。ノビレチンはスダチチンに比べメトキシ基が一つ多く有する構造的な特徴がある。ノビレチンは抗肥満、抗ガン、抗認知機能等様々な機能性を有するが免疫系に対する研究は限定的である。スダチチンの実験系と同様卵白アルブミン免疫マウスに対する作用を観察した。ノビレチンはスダチチンと同様に抗原特異的免疫応答を増強し、またメカニズム的にも類似した機構であることが明らかとなった(J. Nutr. Sci. Vitaminol. 65:278-282, 2019)。以上の結果より、スダチチンは世界的に着目され研究が進んだ栄養機能性成分であるノビレチンに匹敵する機能性を有していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画では、スダチチンやノビレチンといったメトキシ基を有するフラボノイドの免疫機能に対する影響を基礎的な観点から解明するものであった。In vitroの実験系に関してはフラボノイドの抗炎症作用を有することを見いだし、2件の学会発表をおこなった。In vivoの実験系に関しては学会発表に加え2報の研究成果を学術論文として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
肥満モデルでは0, 30, 60, 90日目、アレルギーモデルでは10, 20, 30日目に糞便と血清を採取する。糞便からビーズ方により腸内細菌を精製し、ゲノムDNAを分離する。16SRNA部位の増幅を行い、T-RFLP法により解析を行う。腸内細菌解析に加え次年度のガン免疫チェックポイント療法に使用する抗体ハイブリドーマを用いアフィニティー精製法により実験に用いる抗体の準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究計画に用いるマウスアレルギーモデルおよび肥満モデルの作成やフラボノイドのシグナル伝達に対する影響が当初の予定より短期間で終了することができた。本年度実施予定である腸内細菌解析はこれまでに実験経験がなく、予備実験や本実験により得られる当初の目的とする結果を得ることは困難が予想され、要する消耗品費用が多くなり、また場合によっては謝金により新たな人員を投入する必要もあるため。
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