研究課題/領域番号 |
19K11768
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
酒井 徹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (40274196)
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研究分担者 |
首藤 恵泉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (10512121)
中本 真理子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (40722533)
中本 晶子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (90803536)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ポリメトキシフラボノイド / ノビレチン / マツダイダイン / ヘプタメトキシフラボン / Th17 / EAE / 自己免疫性脳脊髄炎 |
研究実績の概要 |
申請者は、柑橘類スダチ果皮に含まれるスダチチンは抗肥満および免疫増強作用を有することを明らかにしてきた。スダチチンはフラボノイドに分類され多数のメトキシ基を有する構造的な特徴がある。本研究では、フラボノイドのメトキシ基に着目しその立体構造と生体調節機能との関連性を解明することを目的とする。 1)ポリメトキシフラボノイドとしてノビレチン、マツダイダイン、ヘプタメトキシフラボンの3種類についてin vitroにおけるT細胞活性化に対する影響を観察した。いずれのポリメトキシフラボノイドも濃度依存的に増殖反応、IFN-g、IL-10産生を抑制した。一方、興味深いことにIL-4産生はノビレチンおよびヘプタメトキシフラボンに関しては濃度依存的に増強することを見いだした。 2)Th17ヘルパーT細胞分化が病態制御に関わるマウス自己免疫性脳脊髄炎モデル(EAE)でポリメトキシフラボノイドノビレチンの作用について検討を行った。ノビレチン投与マウスではEAEの病態スコアの低減が認められ、またMOG特異的IL-17産生も抑制されていた。In vivoの実験系に加えてin vitroでの実験により作用機序を検討した。In vitroにおいてT細胞を刺激しノビレチンの添加を行い、Th1, Th2, Th17細胞への分化に対する影響を観察した。その結果、ノビレチンはTh1分化以上にTh17分化をより抑制することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリメトキシフラボノイドとしてフラバン骨格に2から7個のメトキシ基を有するフラボノイドの特性を比較検討し、機能の相違は単なるメトキシ基の数に依存しないことを明らかにすることができた。また、T細胞活性化に対する影響としてメトキシ基の数は同程度でも、結合部位によりIL-4産生に対する影響は異なるといった興味深い知見が得られた。 ヘルパーT細胞の分化の方向性は生体防御やアレルギー疾患に密接に関連することが知られており、Th1およびTh2分化に対する栄養成分に作用に関する研究が多数行われている。一方で、Th17分化に対する影響に関しては細胞分化モデルが限られており解析が進んでいないのが現状である。マウスEAEモデルはTh17分化を観察できる数少ないモデルであり、このモデルを用いポリメトキシフラボノイドの作用を検討した初めての研究であり学術論文として報告ができた。
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今後の研究の推進方策 |
ある種のポリメトキシフラボノイドはT細胞活性化に伴うIL-4産生を増強できることを見いだした。そのメカニズムを解明するために次の2つの実験を計画している。1)IL-4プロモーター領域を増幅しPGVベクターに組み換え、そのプラスミドをEL-4細胞に遺伝子導入を行う。ポリメトキシフラボノイドを作用させ、その後カルシウムイオノフォアーの刺激をし、プロモーター活性をルシフェラーゼ活性の測定を行う。2)ポリメトキシフラボノイド処理を行ったT細胞を刺激し、それら細胞の核タンパク質を抽出する。C/EBP1はIL-4遺伝子発現を促進する転写因子であるので、C/EBP1発現をウエスタンブロッティングにより解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
費用を要する腸内細菌やメタボローム解析によりポリメトキシフラボノイドの作用機序を解析する予定であったが、研究の進行が当初より後ろ倒しとなっているため、次年度使用額が生じた。次年度に腸内細菌やメタボローム解析をするためのサンプルを採取し解析に供する。
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