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2021 年度 実施状況報告書

脂肪細胞の数・大きさ・アディポカイン産生における新規制御因子IRBITの機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K11776
研究機関昭和薬科大学

研究代表者

濱田 浩一  昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (00343070)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード脂肪細胞 / IRBIT / 細胞分化 / アクチンフィラメント
研究実績の概要

日本でも食生活やライフスタイルの欧米化に伴い、肥満人口は増加の一途をたどり今や推計2300万人に達している。肥満症発症の背景には、過栄養や運動不足による肥満、すなわち脂肪組織における脂肪細胞数の増加と肥大化、さらにアディポカイン産生異常が原因である。従って、脂肪細胞の大きさ或いはその数を適切に制御できれば、肥満の解消につながり、さらには生活習慣病克服の鍵となると考えられる。我々は、IRBIT (IP3 receptor binding protein released with inositol1,4,5-trisphosphate)という分子の生理機能を解明する過程で、IRBIT KOマウスが、体重低下・脂肪組織の減少・個々の脂肪細胞の矮小化・血中TNFα濃度の低下を偶然発見した。TNFαは「悪玉」脂肪細胞から分泌されることから、こうした所見は、IRBITが脂肪細胞の大きさや数を適切に調節できる分子であることを強く示唆している。本研究では、IRBITがいかに脂肪細胞の数や大きさを調節しうるのかを、分子レベルで解明することを目的として研究を行ってきた。これまで、この分子メカニズムを検討するためにIn vitro 脂肪細胞分化誘導システムである3T3-L1細胞を用いてIRBITをノックダウン(KD)したところ、①脂肪細胞の分化が顕著に抑制されていた。②さらにIRBIT KD 3T3-L1細胞では、脂肪細胞のマスター遺伝子であるPPARγやC/EBPαの発現はmRNAおよびタンパク質レベルで抑制されていた。③一方脂肪細胞初期に発現が誘導されるC/EBPβやC/EBPδの発現はmRNAやタンパク質レベルでは変化がなかった。④IRBIT KD 3T3-L1細胞では脂肪細胞分化に必須の過程であるMitotic clonal expansion(MCE)能が抑制されていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和三年度は
①近年アクチン骨格の動態が、脂肪細胞と骨芽細胞の分化スイッチに重要であることが報告されている。そこでIRBITKD 脂肪前駆細胞のF-アクチン染色を行ったところ脂肪細胞分化前後で起こるアクチンフィラメント再構成が障害されていた。またIRBIT KD脂肪細胞における分化障害が、①アクチンフィラメント再構成をに関与するROCKの阻害剤で脂肪細胞分化が回復することを見出している。
②上記のアクチン再構成に関与する分子メカニズムを明らかにするために、マススペクトロメトリー解析により新規 IRBIT 結合たんぱく質の解析を行ったところ、Rho グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)である GEF-H1 をスクリーニングした。

今後の研究の推進方策

マススペクトロメトリー解析により同定したIRBIT結合新規Rho グアニンヌクレオチド交換因子の詳細な検討を行う。
①新規Rho グアニンヌクレオチド交換因子と IRBIT の相互作用において「どのドメイン」が結合に必要なのか?
②免疫染色法により、IRBIT と 新規Rho グアニンヌクレオチド交換因子の細胞内局在の検討を行う。
③IRBITによりどの程度新規Rho グアニンヌクレオチド交換因子のGEF活性に影響しているのかの検討を行う。
これらの検討によりIRBITによる「脂肪細胞分化」「細胞数」の制御がIRBIT結合新規Rho グアニンヌクレオチド交換因子を介して起こっているのかについて明らかにしたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナ感染拡大のため研究計画が遅れたため

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Both IRBIT and long-IRBIT bind to and coordinately regulate Cl?/HCO3? exchanger AE2 activity through modulating the lysosomal degradation of AE22021

    • 著者名/発表者名
      Itoh Ryo、Hatano Naoya、Murakami Momoko、Mitsumori Kosuke、Kawasaki Satoko、Wakagi Tomoka、Kanzaki Yoshino、Kojima Hiroyuki、Kawaai Katsuhiro、Mikoshiba Katsuhiko、Hamada Koichi、Mizutani Akihiro
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: 5990

    • DOI

      10.1038/s41598-021-85499-6

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] IRBITによる脂肪細胞分化制御機構の解析2022

    • 著者名/発表者名
      岩本諒斗、濵田浩一、久住加奈子、小野竜誠、高村浩美、水谷顕洋
    • 学会等名
      第143回 日本薬学会 年会
  • [学会発表] NBCe1-CとSNX 27との相互作用の生理学的意義について2022

    • 著者名/発表者名
      後藤靖明、生田目駿、長谷川尚美、濵田浩一、水谷顕洋
    • 学会等名
      第143回 日本薬学会 年会
  • [学会発表] IRBITによる脂肪細胞分化制御機構の解析2021

    • 著者名/発表者名
      川端春奈、濵田浩一、河野未菜希、上野慎一郎、下田紗弥、田端彩子、水谷顕洋
    • 学会等名
      第141回 日本薬学会 年会

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公開日: 2023-12-25  

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