研究課題/領域番号 |
19K11779
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
山本 浩範 仁愛大学, 人間生活学部, 教授 (60314861)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リン / ビタミンD / 代謝調節 / 生活習慣病 / 食事感受性 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、生活習慣病疾患特異的なリン・ビタミンDの臓器間代謝制御機構の解明を行い、重症化および合併症予防法の開発を目的とした。初年度は、食餌性リンのビタミンD調節代謝機構の解明として、7週齢雄性C57/BL-6Jマウスを4群(0.15P群、0.6P群、1.2P群、1.5P群)に分け、7日間、リン含有量の異なる固形飼料AIN-93G(0.15%、0.6%、1.2%、1.5%)を摂取させた。血中1,25(OH)2D濃度を測定した結果、0.15P群に比して0.6P、1.2P、1.5P群で有意に低下した。しかしながら、1.5P群では1.2P群と比して有意に増加した。腎臓RNAを用いたマイクロアレイ解析およびPCR解析によりリン摂取量の違いによる腎臓でのビタミンD代謝酵素Cyp27b1およびCyp24a1 mRNA発現変動は、血中1,25(OH)2D濃度の変動と同様に0.15P群に比して0.6P、1.2P、1.5P群で低下したが、1.5P群で1.2P群と比してわずかに上昇した。一方、リン摂取量の増加に伴い、Cyp24a1 mRNA発現量は上昇した。さらに、ビタミンD代謝に関与する転写因子Sterol regulatory element-binding proteins(SREBP-1a、1c、2)に着目して同様に解析を行った結果、SREBP-1a、1c、2のmRNA発現量がリン摂取量増加に伴い上昇し、SREBP-1c mRNA発現量は、4群間で約3.5倍、SREBP-1a mRNA発現量は、約1.5倍、SREBP-2 mRNA発現量は、1.2P群に比し1.5P群で約1.5倍の上昇が見られた。本研究により、腎臓でのSREBPs発現は、高リン食摂取で上昇することを明らかにした。しかしながら、肝臓や脂肪組織でのSREBPs発現変動については不明であり今後の検討課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、概ね順調に進展していたが、2020年3月頃から世界的なCOVID19感染問題により計画に従った研究活動を遂行することに支障が出ている。しかしながら、代表者単独での研究活動においては問題がないため、引き続き研究を遂行する。生活習慣病モデル動物として糖尿病、肥満モデル、慢性腎不全モデルおよびLPS感染炎症モデルを用いてリン・ビタミンD代謝に関わる遺伝子群について解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
糖尿病モデル動物を用い、発症初期の週単位から慢性期の月単位で血中25(OH)D3、1,25(OH)2D3、リン、クレアチニン濃度、血糖値および尿蛋白など糖代謝、腎機能の評価や骨代謝マーカーを評価することと、リンセンサー分子群、日内リズムを考慮した生活習慣病の重症化予防法の開発として、アデニン負荷誘導性や5/6腎摘出腎不全モデルを作成、糖尿病モデル(Zukkerラットやdb/dbマウス)、リポポリサッカライドLPS投与による炎症誘発モデル動物を用い、同定したリン感受性遺伝子の発現変動を様々な疾患モデルで解析するため。
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