研究課題
申請者はこれまで、「脳の糖尿病」として糖尿病起因性の AD 発症メカニズムが騒がれる中、グリセルアルデヒド(GA)が脳に強い神経障害性を引き起こす可能性を報告した。すでに AD 死後脳の神経細胞サンプルにおいて細胞内に神経原線維変化様の Glycer-AGEs化されたタンパク質が認められている。これまでの糖化蛋白質研究から、私達の体内では色々な経路から様々な終末糖化産(advanced glycation end-products, AGEs)が生成してくる事が明らかになっている。しかし、どのような分子が標的となり Glycer-AGEs 化されることが原因であるか不明であった。糖尿病の透析患者中の血清には多くの糖由来のAGEsが含まれていることが予想されるがGlycer-AGEs 抗体はそれらによる神経障害抑制に対して最も有効であった。また、ヒト神経芽細胞腫 SH-SY5Y においてGAは細胞内に Glycer-AGEs を蓄積し、胞の生存率を強く低下させた。GA 処理した SH-SY5Y では、AD で認められるようなタウの過剰リン酸化が認められ、GA は神経原線維変化をともなう AD 発症リスク増加の原因のある可能性を提唱した。これらのメカニズム解明は AD の予防・治療に大きく貢献できるのみならず、生活習慣の予防・改善法として日常的な糖摂取の考え方や糖尿病予防が AD 予防につながる一連の新たな概念を社会に提唱できる。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件)
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