研究課題/領域番号 |
19K11787
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
門間 陽樹 東北大学, 医学系研究科, 講師 (90633488)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 体力 / 生活習慣病 / マルチレベル分析 / コホート研究 / 経時変化 |
研究実績の概要 |
体力と生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)の関連はこれまで多くの研究で検討されており、ある時点の全身持久力や筋力が高いと、生活習慣病の発症リスクは低いことが報告されている。本研究はこの知見をさらに発展させるために、単なる体力レベルの高低だけではなく、ある期間における変化を同時に考慮することで、(1)体力レベルと変化のどちらがより生活習慣病の発症リスクに影響しているかを検討することを目的としている。さらに、課題を発展させることを目的に、(2)体力の経時的変化のモデリングならびに経時的変化への影響因子の検討も行っている。 今年度は、主に(1)に課題を中心に研究を行った。前年度に引き続き、解析に関する検討を進めた。(1)の課題については、前年度に方向性を決めたマルチレベル分析を用いて分析を実施している。メインの分析をほぼ終了し、現在は結果の頑健性に関する検討を進めている。 一方で、これまでの研究計画からの発展的な展開として、体力要素の一つである筋力を実際に向上させる筋力トレーニングの疫学研究の実施に関する検討も行った。筋力の高低だけではなく、筋力を維持・向上させる筋力トレーニングの実施量と生活習慣病の罹患リスクを検討することで、健康的な生活行動へ導くようなエビデンスが提供できると考えられる。文献検討を進めた結果、日本およびアジアから報告された研究が糖尿病を対象とした1本しかないことを確認し、日本発の研究が必要であることが明らかになった。 さらに、体力レベルの経時的変化を捉える取り組みの発展例として、女性のライフイベントに伴う身体活動の変化パターンの抽出とその関連要因の特定の解析をする機会を得ることができた。多くの女性は妊娠に伴い身体活動が低下することが明確になる一方で、出産後に身体活動が以前のレベルに戻る女性についてはかなり限定的であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の流行下の日常生活にも慣れ、順調に検討を進めることができた。さらに新たな展開に発展させられる可能性も生じているため、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
従来の課題については解析を進めるとともに、結果をまとめてフェーズに入る。さらに、筋力トレーニングと生活習慣病の関連について、既存のデータセットで検討ができないか可能性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算の使用は、主に学会・会議等への参加の旅費であったため、予定していた学会・会議等がコロナウィルスの感染拡大に伴いオンライン開催となったため、計上していた旅費を使用する機会が全くなくなった。来年度は感染状況を見ながら、現地参加を視野にいれるとともに、解析のサポート等の謝金に使用するなど本研究課題の遂行を円滑に進めるために使用する予定である。
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