研究課題/領域番号 |
19K11800
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
吉澤 一巳 東京理科大学, 薬学部薬学科, 准教授 (00711532)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シスプラチン / 疲労様行動 / グルコース / ラフィノース / 腸内細菌叢 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、抗がん剤により誘発される疲労様行動に対する栄養療法の有用性を検討することである。実験には C57BL/6N 雄性マウスを用い、シスプラチン (CDDP; 10 mg/kg)を腹腔内投与することで抗がん剤誘発副作用モデルマウスを作製した。このモデルマウスに対して、グルコースの投与が疲労の改善に有用であることを昨年度明らかにした。しかしながら、がん細胞の特性を考慮すると、グルコースの投与はがん増殖能に悪影響をもたらすことが懸念されるため、今年度は、マウス肺癌由来細胞株(LLC)を播種した担がんモデルマウスを作製し、グルコースの投与ががん増殖能に及ぼす影響を検討した。その結果、グルコース水溶液の飲水によってがん増殖能は有意に促進したが、CDDP(10 mg/kg)の腹腔内投与によってその促進作用は抑制された。このことから、CDDP の強力な(殺細胞性)抗腫瘍作用は、グルコースの投与によるがん増殖促進作用を大きく上回り、結果として CDDP の抗腫瘍作用を妨げることなく、疲労改善作用を示すことがわかった。本研究の最終的な目標は、がん増殖能に影響を及ぼさずにがん関連疲労を改善する栄養成分の探索であるため、次の検討として、オリゴ糖に着目して実験を行った。その結果、CDDP 誘発疲労様行動は、オリゴ糖の一つであるラフィノースの投与によって改善することが明らかとなった。また、腸内細菌叢を崩壊させる 4 種抗菌薬カクテル (アンピシリン+ネオマイシン+バンコマイシン+メトロニダゾール) を併用したところ、ラフィノースによる疲労改善作用が抑制されたことから、ラフィノースの疲労改善作用には腸内細菌叢の変化が一部関与する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響で研究環境が制限される状況は続いたが、ある程度は計画通りに研究を進めることができたと考える。抗がん剤誘発疲労モデルマウスと担がんモデルマウスの両方を用いて、引き続きオリゴ糖(ラフィノース)の影響について検討を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、抗がん剤投与による腸内細菌叢の変化に焦点を当て、ラフィノースの疲労改善作用のメカニズムとラフィノース投与によるがん増殖能への影響を中心に検討する予定である。
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