研究課題/領域番号 |
19K11802
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
岩森 大 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (90339961)
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研究分担者 |
宮岡 洋三 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (10134941)
宮岡 里美 新潟リハビリテーション大学(大学院), リハビリテーション研究科, 教授 (10465479)
永井 徹 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 准教授 (90726621)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 嚥下調整食 / とろみ液 / テクスチャ / 口腔内感覚 |
研究実績の概要 |
2019年度は、とろみ調整食の検証の一環として、嚥下調整食に用いる調味方法に合わせた「とろみ液」を複数用い、テクスチャ形成に大きな要因を占める固形食品との組み合わせを検証した。さらに、物性測定器材として、「とろみ液」と固形物の双方が解析可能な音叉振動式粘度計を、TDS/TI法による官能評価のためのJ-SEMS装置を新たに購入し、2020年度以降の本試験に向けた予備実験を実施した。 混合だしに醤油・みりんを加えた4種類の調味液に対し、異なる濃度(0~3%)となるようとろみ調整食品を加え撹拌し、8種の「とろみ液」を調整した。組み合わせとなる固形食品として鶏胸肉のきざみ試料とした。他試料として、パンに牛乳を浸し、異なる濃度のとろみにより増粘を行った嚥下調整食パンを新たに作成し各種測定試料とした。 テクスチャ解析及び若年成人被験者30名による評価によって得られた結果は以下の通りである。混合調味液は、3%濃度のとろみを付与することによって、かたさ、付着性が有意に上昇した。とろみ付与したキザミ食は、口腔内感覚において3%濃度のとろみを付与することでまとまりやすく、飲み込みやすいと評価され、咀嚼回数、嚥下回数が減少した。嚥下調整食パンは、パンに牛乳を浸しただけのものに比べ、かたさは同程度でも、咀嚼回数、嚥下回数が減少した。従って、固形(きざみ)食にとろみを付与することは、咀嚼嚥下を容易にすると考えられた。 しかしながら、付着性が高値になることと飲み込みやすさとの関連は、慎重に考慮する必要がある。そこで、被験食だけでなく、口腔内で咀嚼された食塊についてもテクスチャ測定や筋電図測定を新たに進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の目標は「とろみ調整食の検証と実態調査」であった。このうち前者の目標である、とろみ液並びにとろみ調整食品の検証については、順調に進展することができた。得られた知見は論文及び学会発表にて報告した(「9. 研究実績の概要」を参照)。さらに、2020年度以降の本試験に向けた予備実験を概ね完了した。しかしながら、後者の目標である実態調査は、用紙の作成や該当施設での承認といった調査手法確立のみに留まったため、(3)やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
現在、新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の流行に伴い、不要不急の外出や、3密(密閉・密集・密接)を控えることが求められている。このことから、施設での人を対象とした調査や、被験者を伴う官能評価の実施は秋もしくは冬以降になることが想定される。そこで、2020年度計画で予定されている内容の内、テクスチャ測定や動的粘弾性測定を優先し、集中的に実施する。さらに生理的測定である咀嚼筋活動測定は、3密を避ける事を念頭に、必要最小人数(2名)での実施ができるよう、測定プログラムを再度構築していくことが急務となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度の研究に予定していた一部の物品(消耗品)に関し、購入が不要になったため。 2020年度の研究で用いる一部の物品購入を、約8,700円分増やす予定である。
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