研究課題/領域番号 |
19K11804
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
浦本 裕美 仁愛大学, 人間生活学部, 教授 (50390696)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 便秘 / CFTR機能 / 汗中クロライド濃度 / ゲニステイン摂取量 |
研究実績の概要 |
これまでの便秘治療薬とは作用機序が異なる便秘治療薬は、腸液分泌に関与するクロライドイオンチャネルをターゲットとしており、CFTRクロライドイオンチャネル(CFTR)はそのターゲットの一つである。CFTRの機能は、その遺伝子多型の影響を受け、日本人の多くは機能に影響する変異をもつことが報告されていることから、汗中塩分濃度を指標とするCFTRの機能と便秘症状の強さとの関連性及びCFTR活性化成分を含む食品摂取の影響について検討し、CFTR機能が劣っている人で本来の便秘症状が強くなること、更に、CFTR活性化成分を含む食品摂取の効果が得られやすいことが示された(2018年5月 日本栄養食糧学会、2019年5月 日本栄養・食糧学会)。 そこで本研究では、汗中クロライドイオン濃度を指標としたCFTR機能が劣っている人における便秘発症を抑制する要因を明らかにすることを目的とし、日常生活に関するアンケートへの回答から、便秘に対する悪化行動と改善行動の分布割合を、便秘群と非便秘群に分けて検討した。 その結果、CFTR機能が劣っていても便秘症状がない人に「乳酸菌を含む食品の習慣摂取」、「運動習慣がある」、「総食物繊維摂取量」、「ゲニステイン摂取量」の項目において、改善行動割合が高く、CFTR機能が劣っていて便秘症状がある人に悪化行動割合が高い傾向がみられた。この傾向はCFTRが十分に機能していると考えられる人では認められなかった。上記項目の内「ゲニステイン摂取量」以外は便秘予防に効果があると一般に認識されている行動であるが、CFTR機能が劣っていると考えられる人においてのみ便秘予防の効果が得られているという興味深い結果が得られた。また、ゲニステインはCFTRを活性化する作用を持つ成分であり、このことから、CFTR機能は個々人の本来の便秘へのなりやすさに関与していることがあらためて示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた計画は順調に進められ、解析も一通りはできているが、更なる解析が必要と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、CFTR活性化成分を含む食べものを被検者に摂取してもらい、効果を検証する実験を予定していたが、臨床研究法が施行されたことにより、この計画を実行することが困難となった。よって、こちらで食べものを提供し摂取してもらうというやり方を変更し、指導教室を開催し、被検者に便秘についての知識を提供しその前後でのCFTR活性化成分の摂取量を調べ、同時に便秘症状の有無と強弱をアンケートに回答してもらい両者の関係を解析することにした。しかし、新型コロナウイルスの影響で、更なる変更を強いられる可能性があり、状況みて今年度実施する内容を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前倒しで20万円を請求したのは、臨床研究法に基づく審査を受けるためであった。しかし、所属施設は医療機関でないため、審査を受ける条件を満たすことが困難であることが、地域の特定臨床研究審査委員会に相談したことで判明した。よって、その分が次年度繰り越しとなった。
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