研究課題/領域番号 |
19K11809
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
松本 浩実 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (50810230)
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研究分担者 |
櫛田 大輔 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (30372676)
萩野 浩 鳥取大学, 医学部, 教授 (80208412)
谷村 千華 鳥取大学, 医学部, 准教授 (90346346)
大坂 裕 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (90550385)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨折リスク / 骨折 / 骨密度 / 筋肉量 / サルコペニア / FRAX |
研究実績の概要 |
研究#1の疫学研究についてはすでにベースライン登録していた468名の地域在住住民に対して1年間の骨折発生の有無に関する調査を実施した。380名(81.3%)についてフォローアップ調査が可能であった。1年間で11名(2.8%)に新規の骨折が発生し、女性に多かった(男性0.7%vs女性4.4%)。骨折の内訳は上腕骨骨折1名、橈骨遠位端骨折1名、その他は不明であった。対象者を骨折発生の有無で非骨折群と骨折群の2群に群わけし各変数を比較したところ、ベースライン時に骨密度がYAM70%以下であることと(32.4 % vs 72.7%)、既存骨折があること(18.7% vs 45.5%)が有意に新規の骨折発生と関連した。FRAX値、ロコモの有無、サルコペニアの有無は1年間の骨折発生とは関連しなかった。1年間の骨折発生の有無を従属変数、年齢、性別、BMI、ロコモの有無、%YAM及び既存骨折を独立変数とした二項ロジスティック回帰分析を行なった結果、骨密度がYAM70%以下であることのみが骨折発生と有意に関連した(Odds:4.746, 95%CI:1.206-18.683)。 研究#2の多変量解析による骨折リスクタイプ分けと骨折リスク予測モデルの構築については、ベースライン登録データから主成分分析を実施した。主成分寄与率の高い項目として筋肉量、体脂肪率、歩行能力が挙げられ、男女別に骨折リスクの代替因子(骨量、FRAX値)との関連を分析した。その結果、男性では骨折リスクが高いものの特徴として筋肉量が低い,体脂肪率が低いこと、女性では体脂肪が高く歩行能力が低いことが骨折リスク代替因子と関連することが判明した。また骨折と関連するサルコペニア の発生についての生存分析を行った結果、ベースライン時のFRAX値15%以上と過去1年で転倒歴があることが危険因子であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疫学調査のアンケート回収率も高い結果を得ることができた。さらに3年間継続して実施することで長期的な骨折発生数、危険因子が明らかになる。また、多変量モデリングによる骨折リスクタイプ分けと骨折リスク予測モデルの構築についても、主成分分析をもとに、概ね仮説通りの結果を得ることができているためタイムスケジュール通りに研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
骨折発生危険因子抽出のための疫学調査の継続およびその調査結果をもとに、さらに多変量骨折予測モデルについて構築を進めていく。骨折に関連する転倒についても着目し、加速度センサー等を用いた動作解析についても実施していく予定にある。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会出張及び研究#3で予定していたシステマティックレビューが実行できなかったことから、未使用予算が生じた。翌年度以降に研究#1における疫学調査人件費、研究#2におけるシステマティックレビュー費用及び論文作成費用に使用する計画にある。
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