研究課題/領域番号 |
19K11819
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 浩二 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (00547391)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スケジューリング / アルゴリズム / オンライン問題 |
研究実績の概要 |
スケジューリング問題(SCP)とは、有限個のマシンとそのマシンにおいて処理すべき多数のタスクとが与えられた際に、そのタスクをどの様に各マシンに割り当てて処理すべきか、という理論計算機科学分野の重要な問題である。例えば、計算機のCPUとCPUで処理すべき命令や、コンビニのレジとそこに並ぶ買い物客による待ち行列などは、それぞれマシンとタスクとして見なすことが可能であり、SCPとして定式化し得る。我々の身の周りにおいて生じる事象(問題点)に対して理論的な解決策を与えるという動機から、SCPはオンライン問題と呼ばれる、タスクに関する情報が時間の経過と共に逐次的に与えられる問題設定(OSCP)において盛んに研究されている。ところが、従来のOSCPでは、1つのタスクがマシンを占有することを許す問題設定が多く、実用的な解決策を提供しているとは言い難い状況が頻繁に発生している。本研究ではその様な問題点を解消する為の個々のタスクを尊重する様な、(a)OSCPの新しい問題設定を提案し、(b)異なる3つの方式(決定性、制約条件、付加情報)によって、その問題設定に対する効率的なアルゴリズムを設計することを目的としている。 (a)については、令和元年度に問題設定の設計を終えている。 (b)については元年度に終えた決定性方式以外の2つの方式(制約条件・付加情報)に関する研究に取り組んだが、成果を対外的に発表するところまでは至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、令和2年度は(a)については、新しいOSCPの問題設定設計の完成を想定していた。また、(b)については、 (a)において設計した問題設定に対する3つの方式のアルゴリズムの設計をそれぞれ行う計画となっていた。 「研究実績の概要」において述べた通り、 (a)については、令和元年度までに新しいOSCPの問題設定の設計を終えている。一方、(b)については、(a)において考案した問題設定における残り2つの方式に関する研究に取り組んだが、成果を発表できる状況までには至らなかった。また、今後、依然として問題設定の修正・変更などの可能性もあり得る為、研究はやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の当初の研究計画は、(a)において考案した問題設定に対して3つの方式によるアルゴリズムの設計・解析に引き続き取り組む計画となっていた。 基本的にはその計画通りに研究を進めていく。具体的には、(a)については、(b)のアルゴリズムの設計・解析に応じて問題設定の見直し・修正を適宜行う。(b)については、アルゴリズムの3つの設計方式のうち残り2つの方式(制約条件、付加情報)について、引き続き設計・解析を行う。ただし、当初計画したこれら2つの方式よりも、より有意な方式があれば、状況に応じてそれらの方式による設計を検討する。 なお、現在の新型コロナウイルスに関連した社会的状況により、令和3年度においても当初予定していた関連研究などの調査や研究成果の発表に関して多大な影響が生じる可能性がある。前者についてはインターネットを介して調査を行うことで、ある程度対処可能である。後者については、研究成果の発表方法(国際会議の発表、学術論文誌への投稿、研究集会での発表)・時期などについて慎重に検討して対処する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在の新型コロナウイルスに関連した社会的状況などにより、令和元年度と同様に令和2年度においても、当初予定していた関連研究調査を目的とする国際会議や研究集会に参加する為の旅費やその他の諸経費(会議の参加料など)を執行することが出来なかった。令和3年度もこの状況は劇的には改善しないことが予想されるが、状況が許せば当初予定していた会議などの参加を検討したい。また、調査や研究成果を発表する為の方法の変更などにより、旅費(諸経費)として計上していた費用を、物品の購入費などにあてる可能性がある。
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