研究課題
2023年度では3編の査読付き論文が学術専門誌に掲載された。他に2編の査読付き国際会議論文が出版され、それらの研究成果を国際会議で口頭発表を行った。以下簡単にそれらの内容を解説する。メモリ領域とメモリへのアクセス方式の制限されたプッシュダウンオートマトンが計算途中で不具合を起こした場合、あらかじめ決められた復旧コードを入力して再稼働を行うようにするが望ましい。この様なシステムをどのように構築するのかに関する先行研究を引き継いで、適切なシステムの設計を発見する為に必要な計算量を明らかにした。次に、対数メモリ領域が使用可能な補助テープと深度kの保存(ストーリッジ)テープを使用可能な有限オートマトンを導入し、その計算能力の分析を行い、計算の複雑さの上限がレベルkのSC(スティーヴのクラス)であることを数学的に証明した。思考実験的な仮説である「弱線形領域仮説」を提案した。これは、2SAT3(論理式充足可能問題)を解く多項式時間アルゴリズムは必ず弱線形領域より多くのメモリが必要になることを主張する仮説であり、例えばこの仮説が正しければ、計算量理論の大きな未解決問題の一つであるLとNLが異なることが示されると共にLOGDCFLとLOGCFLが異なることも導かれる。この仮説に関する様々な事実を明らかにした。更に、通常整数などは2進数表示で計算機の入力として取り扱われているが、これらとは異なり、1進数表示された整数値を入力とした場合、様々な決定問題をメモリ領域量の制限された計算機で解く為に必要な計算量の上限を明らかにした。最後に、1970年代から行われてきた非一様性有限オートマトン族の研究に対し、新たに数え上げオートマトンの族に焦点を絞り、それらの機械の受理条件による計算能力の比較を行い、特に1方向入力の場合に能力に違いがあることを初めて明らかにした。
すべて 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
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