研究課題/領域番号 |
19K11823
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
片山 喜章 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10263435)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 分散アルゴリズム / 自律分散ロボット / 可解性 |
研究実績の概要 |
低機能移動端末の新モデルの提案と既存モデルも含めたモデルと問題の可解性に関する関係を明らかにすることを目的として昨年度から継続して研究を進めた. 新モデルについては,本助成対象研究によって新規提案しているペアボットの存在と有用性を自律分散ロボット研究者に広く認知してもらうために,プレプリントとしてarXivで公開すると同時に国際会議に投稿しているところである.これと同時に,ペアボットモデルの問題解決能力の解明の一環とし,三角形形成問題を解くアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムは 三角格子平面上で視野範囲がL1-normで1しかない場合でも直線状態から三角形を形成させるアルゴリズムである. 新モデルが離散平面上を基本とすることから,これと同時に離散平面上における既存モデルに着目し,完全相互観測問題(既知の結果の改良),fatロボットによる集合問題(可解性を証明),7台のロボットの集合問題(可解性を証明)を解くアルゴリズムをそれぞれ提案した. これら完全な理論的成果とは別に,今後の低機能移動端末の実践的研究を見据え,アルゴリズムの検証機能を有するアルゴリズムシミュレータの開発にも着手した.このシミュレータは,既存の自律分散ロボットのシミュレータを核とし,システム状況を符号化しそれらを効率よく比較する手法を提案することで,アルゴリズム実行中に生じるループや異常停止を効率よく判定可能としている. 以上の研究成果を,6編(英文1編,和文5編)にまとめて公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本助成対象研究における新モデルを国際的に認知してもらうことを目的とした研究発表については,arXiv への投稿とそれを見た研究者からの質問等は受けているものの,まだ国際会議での発表が果たせていていない点について「やや遅れている」と判断している.それ以外については,新モデルでの可解性を明らかにする結果が得られており,また,その周辺である離散空間上における既存モデルの問題解決能力の解明も順調に進んでおり,この点は「おおむね順調」と判断している.これに加えて,当初の研究計画ではあまり注目していなかったシミュレータによるアルゴリズム検証について,その重要性に着目し成果を得つつあり,この点は予定していなかった成果である.以上を総合して,「おおむね順調に進展している」と判断する.
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今後の研究の推進方策 |
研究目的・目標の中で早急に実現すべきである「新移動端末モデル(ペアボットモデル)」の提案に関して,その国際的認知を広めることを早急に進めたい.そのため,いくつかの国際会議での既存成果の発表を計画している.それと同時に,新モデル周辺のモデルと問題の可解性の関係を明らかにしつつ,新モデルと既存モデルの問題解決能力の差異を明確に位置付ける問題設定を探る. これら理論的な研究と並行し,アルゴリズムシミュレータや実機ロボット上での理論モデルの実装方法についても探りながら,理論と実践のギャップを浮き彫りにして,以後の研究につなげたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度からのCOVID-19による影響で,引き続き研究調査や成果報告にかかる出張ができない状況のため.
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