自律分散移動端末システムに関する研究は,端末(ロボット)の持つ機能が問題解決能力に敏感に作用することから,分散システムの理論研究分野,特に分散アルゴリズムの研究者の興味を惹いている.本研究は,既存モデルを基本とした新たなロボットモデルを2つ提案し,その問題解決能力の一部を明らかにした点が,理論研究者に新たなテーマを提供したという意味で意義深い.さらに基本モデルでの新たな問題解決能力の明確化と,自律分散移動端末システム上でのアプリケーションの提案は,既存テーマの研究者にとっても興味深い成果となっている.これらの知見は,変形菌や微小粒子集合体による創発現象の発生機序の解明に役立つことが期待される.
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