研究課題
令和4年度の研究実績に基づき,令和5年度(最終年度)の研究計画では,申請当初の研究計画を修正し,近似Groebner基底をsignature based algorithmの枠組みに適合させる課題については,将来に解決すべき課題としての整理を進めるに留めることとしていた。一方で,多変数多項式の近似GCDアルゴリズムに関しては,特に疎な多項式での性能が顕著であり,適用事例を増やすと共に,その結果に基づく改良に取り組むものとしていた。前者に関しては,課題整理と並行し,令和4年度に取り組んだパラメータを伴う基底検出法の理論的位置づけを再検討したものを,国際研究集会でポスター発表を行った。後者に関しては,令和4年度に基本設計を行った「SLRA Interpolation(multidimensional FFTとSLRAを組み合わせることで,複数個の多変数多項式の近似GCD計算を,二個の単変数多項式の近似GCD計算に帰着させる方法)」に基づく近似GCDアルゴリズムを論文として発表した。また,論文には含まれていない適用事例として,次数が高く既存の方法で解くことが困難である問題の計算結果や,部分終結式行列による初期ベクトル計算を特異値分解ではなく固有ベクトル計算で代用する方法,C言語による実践的な実装による実験結果などを研究集会等で速報として発表しつつ,既発表分を改善した内容として取りまとめを進めた。これにより,研究期間全体を通しては,研究計画の修正に基づき近似Groebner基底の研究はパラメータを伴う多項式系に対する方法の改善と問題整理に留まったが,近似GCDに関しては,Bernstein基底多項式を用いたアルゴリズムの提案,NewtonSLRAアルゴリズムの改善,新たなSLRA Interpolationアルゴリズムの提案に至っている。
すべて 2023 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
ACM Communications in Computer Algebra
巻: 57 ページ: 160 -- 164
10.1145/3637529.3637540
Proceedings of the 2023 International Symposium on Symbolic and Algebraic Computation, ISSAC 2023
巻: - ページ: 470 -- 479
10.1145/3597066.3597116
京都大学数理解析研究所講究録
巻: 2255 ページ: 117 -- 125
https://wwwmain.h.kobe-u.ac.jp/~nagasaka/research/snap/