研究課題/領域番号 |
19K11828
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
亀井 清華 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (90434977)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 危険区域問題 / 自己安定アルゴリズム / ロボットモデル / 2-極小支配集合問題 |
研究実績の概要 |
本研究では,トポロジーが動的に変化するようなネットワークにおいても,十分に実用に耐える,故障耐性をもつ自己安定分散アルゴリズムの研究を目的とする.動的なネットワークでは,各計算機の参加・離脱,ネットワーク内の移動などが頻繁に起こるため,リンクの切断やメッセージの損失,外乱によるメモリの内容の改変などの一時故障が起こりやすい.そういった故障や変化に対する耐性を持つ分散アルゴリズムとして,自己安定アルゴリズムがある.本研究では特に,危険区域に一度にアクセスするプロセス数の上限と下限を設定する問題である危険区域問題に着目し,アルゴリズムの設計を行う.危険区域問題は,相互排除問題を一般化した枠組みである. 当該年度は,危険区域問題に関連して,自己安定トークンリングアルゴリズムの設計を行った.これは,状態通信モデルでは既存の相互排除アルゴリズムであるトークンリングをそのまま用いれば良いが,メッセージパッシングモデルに変換しようとすると,トークンが消滅する瞬間があり,そのまま用いることができない.そこで,トークンが常に少なくとも1つあるという状況を保ち続けられるようなアルゴリズムを設計した. さらに,交差点におけるグループ相互排除問題のための自己安定アルゴリズム,2-極小支配集合問題に対する自己安定アルゴリズムの設計を行った. また,通信機能などの機能を制限した場合のモデルとして,ロボット群モデルについても検討を行い,ロボットが二次元グリッドの領域から脱出するためのアルゴリズム,トーラス上で集合するためのアルゴリズムを設計した.さらに,一部のロボットでビザンチン故障が起きた場合にも正常なロボットのみでタスクを遂行するための新たな枠組みの提案も行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画で予定していたモデルと実装におけるギャップについて考察を行ったので,もともとの目的である危険区域問題自体の解決が後回しになってしまった.
|
今後の研究の推進方策 |
(l,k)-危険区域問題に着手する予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画していた国際会議の参加費及び旅費,論文誌掲載費についての使用が延期になっている.翌年度,国際会議の参加費及び旅費論文誌掲載費として使用する計画である.
|