研究実績の概要 |
Mader予想とは,位数mの任意の木Tに対して,最小次数が[3k/2]+m-1以上の全てのk-連結グラフGは,G-V(T')がk-連結であるTに同型な部分木T'を含む,という命題である.この予想について,Tがパスのとき,k = 1のときは成立し,k = 2のときは部分的な肯定的結果が知られていたが,最近 k = 2,3の場合も成り立つことが示されている.本研究では,Mader予想の辺版として,次の命題を予想し,k <= 2のときには成り立つことを証明した. 予想1:位数mの任意の木Tに対して,最小次数がk+m-1以上の全てのk-連結グラフ(k-辺連結グラフ)Gは,G-E(T')がk-連結(k-辺連結)であるTに同型な部分木T'を含む. 実際にはより強い以下の命題を証明した. 命題1:k <= 2として,位数mの任意の木Tに対して,最小次数がmax{Δ(T)+k,m-1}以上の全てのk-連結グラフ(k-辺連結グラフ)Gは,G-E(T')がk-連結(k-辺連結)であるTに同型な部分木T'を含む,ここでΔ(T)はTの最大次数を表す. また,予想1に関して,最小次数の下界を2(k+m-p),ただしp = [(k(k+1)+(m-1)(m-4))/2n+1/2]+2,と緩和した場合には成り立つことも示した.さらに,Erdos-Sos予想とLoebl-Komlos-Sos予想の両方が正しければ,k-連結グラフに対する予想1が成り立つことも証明した.特に,この結果とこれまでに知られているErdos-Sos予想とLoebl-Komlos-Sos予想の肯定的結果から,k-連結グラフに対する予想1はTをパスに限定した場合及びGを内周が7以上と限定した場合に成立することが分かった.また,Loebl-Komlos-Sos予想が正しい場合は密なグラフでは予想1が成り立つことも証明した.
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