研究課題/領域番号 |
19K11831
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研究機関 | 会津大学 |
研究代表者 |
渡辺 曜大 会津大学, コンピュータ理工学部, 上級准教授 (70360675)
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研究分担者 |
前田 多可雄 会津大学, コンピュータ理工学部, 上級准教授 (00264565)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 秘密分散 / 暗号 |
研究実績の概要 |
秘密分散法とは,資格を有する参加者集合のみが秘密情報を復元できるように秘密情報を分散暗号化するための暗号技術であり,重要な情報に対するアクセス制御を実現するための核となる技術である.秘密分散法には,復号計算に計算機を必要とせずそれを人間自身が行うことのできる一風変わったものが存在する.視覚復号型秘密分散法や聴覚復号型秘密分散法は,そのような秘密分散法の例である.例えば,聴覚復号型秘密分散法では,資格を有する参加者集合のもつ分散音声を同時再生することによって,人間の耳を用いて秘密音声を復号することが可能である.2020年度は,しきい値型聴覚復号型秘密分散法の具体的な構成法として,暗号化関数にVandermonde行列を用いる方式を取り上げ,計算機実験により,しきい値型聴覚復号型秘密分散法の定義,特に,その雑音耐性の定義の妥当性について調べた.具体的には,聴覚復号型秘密分散法の暗号化関数の標準的な実装において不可避的に存在する丸め誤差と桁あふれ誤差に注目し,聴覚復号型秘密分散法のパラメータを変化させて適当な秘密音声に対して分散音声を生成して,復号音声の品質と雑音耐性との間の関係を調べた.その結果,桁あふれ誤差がほとんどなく丸め誤差が支配的である状況においては,雑音耐性と復号音声の品質の間には正の相関が見て取れるが,桁あふれ誤差が一定程度の割合で存在する状況では,雑音耐性と復号音声の品質の間の相関が低いことが分かった.これにより,雑音耐性の定義を桁あふれ誤差の出現確率を取り入れる形に改良する必要があることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画にしたがって,研究を実施できているため.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,以下の項目のいくつかに取り組む. (1)対称性をもつアクセス構造の簡約化による秘密分散法(特に視覚復号型秘密分散法)の効率化,(2)一般のアクセス構造を実現する聴覚復号型秘密分散法の構成,(3)視覚復号型秘密分散法の秘密画像の多値化のための画質評価指標の開発,(4)視覚復号型秘密分散法の視覚認証への応用,(5)聴覚復号型秘密分散法の雑音耐性の定義の改良.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:国際会議(IEEE WIFS)がオンライン開催となり旅費が不要となったため. 使用計画:当面の間,オンライン会議が増えると考えられるため,計算機・通信環境の向上に資する機器を購入する.
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