暗号資産の爆発的な普及により暗号の秘密鍵そのものが金銭価値をもち,鍵管理システムのセキュリティが喫緊の課題になっている.本研究の目的は,鍵管理システムが攻撃されてもシステム全体の被害を局所化・無効化する代表技術である秘密分散において,さらなる被害の封じ込めに不可欠なセキュリティレベルの更新と,効率性に不可欠なシェアサイズの最小化を実現する技術の研究開発である.そのために以下を実施する. (a)セキュリティレベルの更新を可能にするアクセス構造を備えた秘密分散の定義. (b)暗号応用に不可欠なシェア上の各種特性を担保する更新手法の確立. (c)実応用に不可欠なシェアサイズの最小化を達成する最適な秘密分散手法の確立. 2023年度は,前年度の拡張した定義に基づき以下を実施した.(1) これまでに最適化されていない暗号機能の関数クラスについて通信複雑性の下限を改善.(2) これまでに最適化されていない暗号機能の関数クラスについて通信複雑性の上限を改善し,(1)の下限を達成する最適な構成法を提案.
|