研究課題
2つの凸関数の差は,Difference of Convex functionsの頭文字をとってDC関数とよばれるが,この非凸関数を凸多面体上で最小化するDC最適化問題の大域的最適解を求めるアルゴリズムの研究を主に行なった.一般に2回連続微分可能な関数fはDC関数として表せることが知られているが,その方法は変数の二乗和に十分な重みをつけて得られる凸関数hを,fに足して凸化したのち,そこから再びhを差し引くことで実現される.したがってDC表現の第2項(-h)は複数の1変数凹関数の和として分離可能となる.そこで,こうした特殊構造を有するDC最適化問題に対し,分離可能凹最小化問題のポピュラーな大域的最適化法である矩形分枝限定法を一般化して適用を試みた.通常の矩形分枝限定法と違って,限定操作では線形計画問題ではなく,凸最適化問題を解く必要があるが,線形最適化を繰り返して求解を行うFrank-Wolfe法を採用することで,分離可能凹最小化問題に対しても通常通りの動作を可能にした.さらにウォームスタートの機能を付加し,コンピュータ上に実装してランダムに生成した不定値二次最適化問題を解かせたところ極めて良好なパフォーマンスを示した.比較のため,単体的分枝限定法とよばれるDC最適化の厳密なアルゴリズムも実装したが,構築したアルゴリズムとの性能差が大きすぎて精密な検証を行うには不十分であった.しかし,こうした研究結果をまとめた論文は大域的最適化の専門誌であるJournal of Global Optimizationに採択され,公開されている.
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Journal of Global Optimization
巻: Published online ページ: 1-14
10.1007/s10898-021-01102-2