研究実績の概要 |
離散凸構造の中でも特に劣モジュラ的な離散構造は、大規模な組合せ的な最適化問題を効率よく解決するための手がかりを与える重要な離散構造であり、有効な離散凸構造の本質に迫るべく、劣モジュラ的離散構造の観点から研究を展開し、それらの成果は、以下の通りである。 1. S. Fujishige and F. Tardella: Discrete 2-convex functions. Mathematical Programming, Ser. A, published online, 26 October 2021.(整数格子点上の離散凸関数として、二つの格子点に関して定まる離散2-凸関数の概念を導入し、その有用な数理構造を明らかにした。) 2. S. Fujishige and H. Hirai: Compression of M${}^\natural$-convex functions --- Flag matroids and valuated permutohedra. Journal of Combinatorial Theory, Ser. A, Vol. 185 (2022) Article 105525 (published online, 25 August 2021).(離散数理において深く認識されている flag matroid の観点からM凸関数を見直し、その圧縮によってM凸関数から付値置換多面体が生成されることを示した。) 令和4年度にも、これらの研究の延長線上にある最適化の課題について研究を継続してきた。その中で、最適化の理論的基盤である線形計画問題に対する新しいアプローチの枠組みを提起し、高い評価の国際会議であるIPCO2023に採択されている。
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