研究課題
本研究では回帰診断の枠組みを整備し拡張することによって、経時データに有効な診断の理論的基礎と具体的な診断手法の提案を行うことを目指す。19年度は、説明変数の空間における外れ値の検出のための理論的基礎を考察することを通して、より効率的でかつ現存のロバスト統計学とも整合的な回帰診断の手法を得ることを狙って進めた。20年度は、上記の評価の問題を、分散の推定誤差の影響を如何に取り除くかという観点から継続し、加えて、誤差項の空間における外れ値の検出のための理論的基礎の問題についても考察を行った。関連する研究としてSUR(seemingly unrelated regression)モデルにおける推定問題や距離行列の性質に関する結果も得ている。21年度は、 誤差項の空間における外れ値の検出のための理論的基礎について考察した。外れ値は誤差項の空間において発生する場合もあり、これは通常スチューデント化残差によって評価される。しかし、経時データの場合、誤差項の分散共分散行列によ り一般の構造を仮定する必要があるため、スチューデント化残差の数学的性質はより複雑なものとなり得る。スチューデント化残差の分布は多変量対称分布の研究の一環として幾つか結果が得られており、本研究では、それらの研究を経時データの回帰診断の文脈で整理・拡張することを試みた。また、経時データモデルにおける多重共線性の影響についての研究が僅少であることに気付き、研究へ如何に取り込んでゆくかについて考察した。22年度は経時的均一分散性の検定あるいは診断の問題として、これらのモデルにおける各種の回帰診断 統計量の構造特に既存の分散均一性の検定統計量との関係を調べた。多重共線性の影響についても考察した。
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東京大学教育研究データ分析室紀要
巻: 5 ページ: 1-6
Machine learning, optimization, and data science
巻: 1 ページ: 430-441
Statistical Papers
巻: 63 ページ: 123-141
10.1007/s00362-021-01232-5