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2021 年度 実施状況報告書

リスク回避型データサイエンス技術を開発するための統計的因果推論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K11856
研究機関横浜国立大学

研究代表者

黒木 学  横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60334512)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード構造的因果モデル
研究実績の概要

令和2年度に引き続き、令和3年度は、(1)外的操作による線形回帰モデルの構造的変化の数理的解明、(2)観察データにおける潜在反応タイプの存在割合の識別可能性、について研究を行い、以下のような結果を得た。(1)について、Xを説明変数としYを目的変数とする線形回帰分析のフレームワークにおいて、Zを説明変数として追加することによってXからYへの標準偏回帰係数の値が1を超える統計的現象に注目し、この現象を引き起こされる状況を明らかにするために、(1)XとZの相関係数の大きさ、(2)単回帰モデルと平均に対する因果効果とのなす角、のそれぞれに焦点をあてた。その結果、既存研究では、Zを追加することによってXからYへの標準偏回帰係数の値が1を超える原因の一つとして、多重共線性の存在がしばしば指摘されているのに対して、説明変数どうしが無相関でない限りこの現象が起こりうることを示した。(2)について、原因の確率を定量的に評価することは実質科学における主要課題の一つであるが、事象間の因果関係に密接に関係する問題であるため、一般には観測情報だけでは評価できないことが指摘されている。この問題に対して、ある条件の下では、共変量情報を用いることで、原因の確率が推定可能となることを示したうえで、拡張ラグランジュ法を用いた原因の確率の推定法を開発した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

国際会議に1本、国際的統計学術誌に1本、国内統計学術誌に2本の論文が採択された。

今後の研究の推進方策

日本品質管理学会テクノメトリクス研究会に参加しながら、幅広い学術的視野を取り入れるように心がけていきたい。また、異分野の研究者と共同研究を実施することで応用分野を広げていきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響により学術学会参加を取りやめたため。現在、国内外の学術学会での発表を行うための旅費、国際学術誌に投稿するための論文校閲費用として利用することを考えている。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] クラスタワイズ多変量カーネルリッジ回帰分析法とその応用2021

    • 著者名/発表者名
      川上祐大・黒木学
    • 雑誌名

      応用統計学

      巻: 50 ページ: 1-20

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Exact variance formula for the estimated mean outcome with external intervention based on the front-door criterion in Gaussian linear structural equation models2021

    • 著者名/発表者名
      Nanmo,H. and Kuroki, M.
    • 雑誌名

      Journal of Multivariate Analysis

      巻: 185 ページ: 104766

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 外的操作による線形回帰モデルの変化について2021

    • 著者名/発表者名
      黒木学, 田口千恵, 川上裕大, 小林輝樹
    • 雑誌名

      品質

      巻: 51 ページ: 239-246

  • [雑誌論文] Identification and Estimation of Joint Probabilities of Potential Outcomes in Observational Studies with Covariate Information2021

    • 著者名/発表者名
      Shingaki, R. and Kuroki, M.
    • 雑誌名

      Advances in Neural Information Processing System

      巻: 34 ページ: 26475--26486

    • 査読あり
  • [学会発表] 総合効果の識別可能条件の選択基準- 総合効果の推定精度の観点から-2021

    • 著者名/発表者名
      田口千恵・東川知樹・宮川雅巳・黒木学
    • 学会等名
      日本品質管理学会第125回年次大会研究発表会
  • [学会発表] 効果復元法と条件付き操作変数法を用いた総合効果の統合型推定量2021

    • 著者名/発表者名
      東川知樹・田口千恵・宮川雅巳・黒木学
    • 学会等名
      日本品質管理学会第125回年次大会研究発表会
  • [学会発表] Qualitative Identification of Linear Causal Effects based on Bad Control2021

    • 著者名/発表者名
      田口千恵・宮川雅巳・黒木学
    • 学会等名
      2021年度統計関連学会連合大会
  • [学会発表] 共変量情報を利用した「原因の確率」の定量的評価-識別可能性と存在範囲-2021

    • 著者名/発表者名
      黒木学・川上裕大・新垣隆生
    • 学会等名
      2021年度 統計関連学会連合大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 原因の確率-必要性,十分性,必要十分性とその定量的評価-2021

    • 著者名/発表者名
      黒木学
    • 学会等名
      第24回情報論的学習理論ワークショップ
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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