研究課題/領域番号 |
19K11857
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
蛭川 潤一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10386617)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 時系列解析 / 緩やかに爆発するモデル / 局所定常過程 / 金融工学 / 高次元データ / 非整数和分過程 / 長期記憶過程 |
研究実績の概要 |
近年、1次の自己回帰(AR(1))過程の自己回帰係数の絶対値が1よりも大きいけれど、標本の数が多くなるにつれて1に緩やかに近づいていく、緩やかに爆発する過程が提案された。イノベーションが独立な場合と定常な場合の緩やかに爆発する過程について、非正規な場合であっても、最小二乗推定量がコーシー分布に収束する漸近結果が確立された。単位根周辺過程は、単位根過程、単位根近接過程、緩やかに爆発する過程等の非定常過程の他、I(d)過程やFARIMA過程といった長期記憶型過程も含む、極めて広範なモデルである。実際の金融時系列データにおいて、時間と共にスペクトル構造が滑らかに変化していく様な現象が観測される。このような緩やかに時間変化する非定常性を記述するモデルとして、局所定常過程が優れている。 本研究では,局所定常イノベーションを持つ単位根周辺過程の漸近理論,即ち,最小二乗推定量の漸近分布を導出した。緩やかに爆発する過程により,バブル期の金融時系列データを記述し,バブル期の始まりと終焉の時期を識別するのに応用した。今後は,大規模金融データに対する局所定常時系列因子モデルをバブル期の前,中,後に,それぞれあてはめることにより,何故バブル期が生まれ,はじけたかの要因を明らかにする。得られた結果を将来のバブル期の予測に応用する。また、単位根に関する長期記憶過程である非整数和分過程について、パラメータが正の場合に疑似正規最尤推定量の一致性の結果が知られている。非整数和分過程の疑似正規最尤推定量の一致性をパラメータが負の場合にも導いた。今後は、非整数和分過程の疑似正規最尤推定量のパラメータが正の場合の既存の漸近正規性の結果を、パラメータが負の場合にも拡張する。また、局所定常イノベーションを持つ一般化単位根近接過程の部分和過程のCARMA過程への弱収束を導いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
局所定常イノベーションを持つ緩やかに爆発する過程の漸近理論を導いた。緩やかに爆発する過程により,バブル期の金融時系列データを記述し,バブル期の始まりと終焉の時期を識別するのに応用した。非整数和分過程の疑似正規最尤推定量の一致性をパラメータが負の場合にも導いた。また、局所定常イノベーションを持つ一般化単位根近接過程の部分和過程のCARMA過程への弱収束を導いた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,大規模金融データに対する局所定常時系列因子モデルをバブル期の前,中,後に,それぞれあてはめることにより,何故バブル期が生まれ,はじけたかの要因を明らかにする。また、非整数和分過程の疑似正規最尤推定量のパラメータが正の場合の既存の漸近正規性の結果を、パラメータが負の場合にも拡張する。更に、局所定常イノベーションを持つ一般化単位根近接過程の疑似正規最尤推定量の漸近理論を導く。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響により,学会やシンポジウム、研究打ち合わせ等がオンラインになり旅費の使用が少なくなった。 出張が可能な状況においては、対面での学会参加や研究打ち合わせ等を行う。
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