研究課題
近年、1次の自己回帰(AR(1))過程の自己回帰係数の絶対値が1よりも大きいけれど、標本の数が多くなるにつれて1に緩やかに近づいていく、緩やかに爆発する過程が提案された。イノベーションが独立な場合と定常な場合の緩やかに爆発する過程について、非正規な場合であっても、最小二乗推定量がコーシー分布に収束する漸近結果が確立された。単位根周辺過程は、単位根過程、単位根近接過程、緩やかに爆発する過程等の非定常過程の他、I(d)過程やFARIMA過程といった長期記憶型過程も含む、極めて広範なモデルである。実際の金融時系列データにおいて、時間と共にスペクトル構造が滑らかに変化していく様な現象が観測される。このような緩やかに時間変化する非定常性を記述するモデルとして、局所定常過程が優れている。本研究では、局所定常イノベーションを持つ単位根周辺過程の漸近理論、即ち、最小二乗推定量の漸近分布を導出した。緩やかに爆発する過程により、バブル期の金融時系列データを記述し、バブル期の始まりと終焉の時期を識別するのに応用した。単位根に関する長期記憶過程である非整数和分過程について、パラメータが正の場合に疑似正規最尤推定量の一致性と漸近正規性の結果が知られている。本研究ではこれらの結果をパラメータが負の場合にも拡張して導いた。また、局所定常イノベーションを持つ一般化単位根近接過程の部分和過程のCARMA過程への弱収束を導いた。更に、独立性の帰無仮説に対して、局所定常MA対立仮説を検定する問題にランク検定統計量を応用し、対立仮説の下での検定統計量の漸近正規性を導いた。
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In: Liu, Y., Hirukawa, J., Kakizawa, Y. (eds) Research Papers in Statistical Inference for Time Series and Related Models - Essays in Honor of Masanobu Taniguchi
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