観測個体それぞれが時間等の経過に伴い繰り返して計測されたデータに対するモデリングと、情報集約のために用いられるスパース推定に基づくモデリングについての研究を進めた。 本年度は、関数データの終端時点が個体ごとに異なる場合、新たに計測された経時データが途中まで得られたときに、その先の軌道を予測するための方法について研究した。具体的には、関数データの定義域が個体ごとに異なる場合に用いられる分析方法である可変ドメイン関数データ解析と,将来の軌道を予測するために用いられる動的予測を組み合わせた方法を提案した。提案した手法および実データによる分析について、その成果を学会で発表し、現在論文として執筆中である。また、関数データ解析に基づく経時データの分析を、医学分野のデータに分析する方法についても共同研究を行い、学会で発表している。また、関数データに対する多変量の分類問題に対するアプローチとして部分空間法を適用した方法について論文を執筆し、国際誌へ採択された。 スパース推定については、欠測値を含むデータに対して変数選択を行うために、多重代入法と安定的選択法を加法モデルに適用する方法を拡張して導出した。 研究機関全体では、関数データ解析を用いた統計的モデリング手法を発展させ、それらを農学、気象学、医学といったさまざまな分野のデータ分析に適用し、有効性を検証した。また、スパース推定を非線形モデルの変数選択へ適用する研究も行った。さらに、分類問題において、ラベルの観測にバイアスがある状況下における分類モデルの構築方法についても提案した。これらの成果はいずれについても学会等で発表を行ったほか、論文として執筆し採択あるいは投稿中の状態である。
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