本研究課題では,以下の4つの課題に取組んだ. 1.正則化因子分析の手法であるPrenet (Product-based elastic net)を、様々な実データに適用した。まず、fMRIのデータに適用して、次元圧縮して復元したときの復元率を計算した。すると、非ゼロ要素の数が小さい場合(スパースな場合)、従来法のLassoやk-平均法よりもPrenetのほうが精度が高くなることがわかった。さらに、電力需要量のデータに適用したところ、L1正則化法よりも安定した推定ができることを確認した。 2.昨年度提案した電力需要予測モデルの研究では、提案法の有効性を検証するため、ディープラーニングと比較を行った。その結果、提案法のほうがディープラーニングよりも予測精度が高くなることがわかった。その原因は、サンプルサイズが十分に大きくなく、学習が不安定になったためだと思われる。この内容は、Frontiers in Energy Researchに採択された。 3.群の数が大きい場合における判別分析では、変数間に相関がある場合等様々な状況下で数値シミュレーションを行った。その結果、変数間の相関の大きさに関わらず、提案法は比較的良いパフォーマンスを示すことがわかった。さらに、提案法を4つの実データに適用したところ、いずれのデータに対しても、提案法が通常の線形判別よりも予測精度が高くなることが確認できた。 4.合計値を予測する回帰分析において、クラスタリングすることにより予測精度が高くなることを確認できただけでなく、クラスター数がモデルの複雑度と対応することを示し、クラスタリングにおける新たなバイアス-バリアンス-トレードオフの関係性を発見した。
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