最終年度(2023年度)は本来予定していなかった追加の1年である。新型コロナウィルスの影響で次年度使用が発生したために研究期間が延長された。この年度は既に新しい研究課題で科研費の採択が決まっており、その研究にも取り組む必要があった。そのため、めぼしい研究成果を挙げることができなかった。ただし、今年の夏にも国際学会で本研究での成果を発表予定であり、研究は継続していきたい。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果を述べる前に実施計画を復習する。先ず目的は「距離の相関係数」という統計量を用いて時空間データの独立性の検定を考えることであった。そしてこの目的のために、以下の4つのテーマに取り組むことで研究を実施される: ① 連続時間確率過程が独立かどうかの検定、② 複数の確率場(ランダム・フィールド)の独立性の検定、③ 実データ(金融・時空間データ)への応用、④ 多様体上の確率変数の独立性検定。 この実施計画を踏まえ2023年度までに実施した研究の成果を述べる。テーマ①の研究は2021年度には全て終了した。その研究成果も論文という形で著名な国際専門誌へ掲載された。またテーマ②と③の研究成果も2021年度に論文として一緒にまとめ、それも国際専門誌へ掲載された。よってテーマ②と③の研究も終了した。残ったテーマは「④ 多様体上の確率変数の独立性検定」であるが、このテーマに関しては研究の基礎固めをするのみに留まった。理由はテーマ②と③の論文の改訂に時間がかかったことと、基礎的な書籍の読破に難儀したからである。 残った研究課題「④ 多様体上の確率変数の独立性検定」は興味深いし、将来性もあると思うので、ライフワークとして引き続き研究していこうと思う。もともと息の長いテーマであり短期的に成果を挙げられるものでもない。
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