研究実績の概要 |
2019年度は、角度データやそれに関係するモデルの推測理論を中心に研究し、その成果を論文として発表した。 また、それらを国際共同研究の基礎に結びつけた。2年目にあたる2020年度は推測理論についての研究を進めた。まず、昨年度から続けていた歪対称な角度モデルの混合モデルに関する推測理論を完成させ論文にまとめた。この論文は国際誌に採録が決定された(Miyata, Shiohama & Abe, 2020)。シリンダーモデルの理論を発展させる過程で、通常の統計モデルの研究も密接に関係してくる。非対称な歪分布でおそらくもっとも有名なAzzalini型の歪正規分布について、陽的表現を可能とするEMアルゴリズムを提案した。また、この提案アルゴリズムは既存のアルゴリズムと比較しても非常に優れていることを示し、その理論を完成させた。この研究に関する論文は国際誌に採録が決定された(Abe, Fujisawa, Kawashima & Ley, in press)。一方、角度分布についてはモード不変分布に関するベイズ推定の研究を発展させ、理論を完成させた。この理論に関しても論文にまとめ、国際誌に採録が決定された(Abe, Miyata & Shiohama, in press)。2020年はフローレンス・ナイチンゲール先生の生誕200周年であることから、Florence Nightingale Directional Statistics volumeへの研究発表に招待された。このために、当該分野の研究者らに声をかけ、角度データとトロイダルデータ、シリンダーデータに対する柔軟なモデルに関する研究内容をまとめ、寄稿した(Abe, Imoto, Miyata & Shiohama, in press)。 また、コロナ禍での研究環境の変化にも対応するため、オンラインツールを活用して研究ディスカッションを頻繁に行った。
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